家の建て替え~コンテナ倉庫のばあい~

引っ越しに救世主あらわる!

レンタルコンテナボックスだ。

仮住まいにも入らない仮住まいでは使わない家具や本、衣類を半年間置いておく物置をさがしてわざわざ荒川をわたり埼玉の戸田までいく。

なぜ戸田かというと

①工場、倉庫、住宅が混在する地域で賃料が安い(都内にはあんまし数がない、あっても高い、ちびっちゃいやつしかない)

②6カ月間半額セールをやっている

③もう40年近くいきつけのディスカウントショップ「ロジャース」が近い

いまでこそりっぱなつくりだが建て替え前は倒産したボーリング場の居抜きで店内もベニヤ板でできており見るからに激安感があった。そして品物は倒産した店のバッタ品で、あんまし安売りするので洗剤メーカーがたまりかねて社員が買い占めにきたりしたこれぞまことの激安店だった。


20フィートのコンテナの「8畳」タイプを借りた。ピンクの長屋団地の風情だ。

2階の幅2.3ⅿ、奥行き6mの広々とした倉庫。重たい鉄の扉はそうは簡単に開かず、力を込めてレバーをもって勢いをつけてひっぱってようやく「ぐおーん」と地獄のかまどのうなり声をあげてあいてくれる。


2階だから力いっぱい引っ張りすぎると空いたときその反動で台車から転がり落ちるかもしれず、あまつさえ足もとがふらつきろれつも回らなくなっている昨今、コンテナの扉はあいたはいいが天国への扉もひらいてしまうなんてことになるから気が抜けない。高所恐怖症のかたはご遠慮ください。

この台車は階段の上の足場に防護柵がないため、プールの飛び込み台のようなつくりになっている。

だから台車をコンテナに横付けせず正面に置いてしまうと左右が片平なぎさが犯人を追い詰める東尋坊の断崖絶壁みたいにスリリングなシチュエーションに置かれることになってしまい最初はそうとは知らずにたいへんなことになってしまったと悔やんだ。


1.6畳、4畳、8畳の3種類があってそれぞれ1カ月のレンタル料は6480円、12960円、21600円となっている。

大学生の時、横浜の貿易会社の社長さんとこのぼうやの家庭教師をしていたことがあって勉強の終わった後の食事の時お父さんから「鉄製のコンテナでも太平洋を航行しているとき暴風でへこんでしまうことがあるんだよ」といわれたことを思い出した。風がすざまじく強いのかコンテナが見かけほど強くないことなのかわからないが。

現役の時は太平洋の大海原を旅していたであろうコンテナ。おつかれさまだ。そしていま、余生を海のない埼玉でおやじに囲われて過ごすことになった。

そこにいるだけで、そこにあるだけで感謝される余生。わしらじじいもかくあるべきだとうなづく。


1.6畳がカプセルホテルなら4畳はビジネスホテル、8畳は一流ホテルのスイートルームでといっても過言ではない。

1.6畳タイプはコンサート会場の仮設トイレふうのつくりだ。8畳に住む大家が熊さんたちに長屋を貸しているようにも見えなくはない。楽器やアウトドア用品、おくさんには内緒のものなどを置いとくのにいいかもしれない。その日も「そんながらくたはどっかにもっていきなさい」とおっかあにぶちぶちいわれているのだろうと思われるおにいさんがきていた。


2階しか空いてなかった。

そしてネットであらかじめ指示された部屋はレバーの不具合で変更してもらうことになった。フロントに悪態ついて(貸し出す前にチェックせんのかいこのボケ!とかいって)部屋を交換してもらった。ホテルでクレームつけると部屋のグレードをアップしてもらえたりするらしいが、お隣の部屋にかわっただけだ。(さいきん事あるごとに吠えたり、悪態をついたりはては脅したりするようになった。これに自分のボケがはいると取り返しのつかないことになる可能性がある。)

これから迎える夏に2階で何が起きるか容易に想像がつく。鉄の塊ハウスは本気の夏の太陽にあぶられ目玉焼きができるぐらいではすまないだろう。


飛行機の搭乗口のタラップのような移動式台車はよろけて落ちたら骨折間違いなし。


重い娘のタンスを運び込んでみたが、階段を転がしながらあげると意外に楽ちんだった。

使用料は日割り計算で「6カ月半額セール中」でお得だった。ほかに共益費?(このゴロゴロ階段台車、防犯カメラ、清掃だのの管理費か)、それに加えて1か月分の「事務手数料」(鍵とかも含めた初期費用)がいる。

8時から20時までは出し入れ自由なのがうれしい。


「約款」には保管禁止物品として現金、小切手、ヨット、拳銃、動物などが具体的に掲げらえており、遺体もいかんらしい。

わざわざだめといっているということは運び込む人がいるっちゅうことだ。やくざの脱税資金、がさ入れに備えて、犯罪がらみ、、、


でも災害で焼け出されたらここににゃんともども住まわせてもらうからね。

「明らかにごみであるもの」もだめ。この「明らかに」で救われて甥っ子の部屋に散乱している「ごみと決まったわけではない」ごみはぎりぎりセーフか。


ともあれ、「仮住まい」と「物置倉庫」が決まってほっとした。

しかし、今でこそ「開業間もない新横浜駅周辺」のようにコンテナはスカスカだけどもうじき「原宿竹下通りの露天商」みたくなることだろう。


我が家の周辺は23区内の外周道路である「環八通り」にほど近く立ち退き建て替えラッシュが続いている。

2019.6.2

 

 

作成者: user

還暦を迎えてますます円熟味を増す、気ままわがまま、ききわけのないおやじ

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