その前に15年前、1年だけ勤務したことのある二子玉川に降りてみよう。
すると、
南口降りてすぐが大変なことになっていた!
昭和レトロな遊園地の跡が再開発されて、当時の景色はみる影もなく、ハイソな未来型の住宅エリアになっている。
「蔦屋家電」などという、本屋なのかコーヒーショップなのか、はたまたおもちゃやなのか、車のディーラーなのか、家電売り場なのか、フラワーショップなのか、男なのか女なのか境目のない混沌と意味不明、正体不明な店舗もできていて、
自由が丘、まさかお前まで?と確かめに行くと
相変わらずのごちゃごちゃちまちました、たこ足配線の狭苦しい歩きにくい街のままで、
自由が丘のどこがいいのか、なんで吉祥寺と並んで人気の街なんか、やたら騒ぐのか、住んでみたい街なんかいっこうにわからず、
駅横にある学生時代のまんまの古めかしい細長いマーケットがいまだ健在で、
拍子抜けしたような、代わり映えのなさになかば呆れつつ、ほっとしたりするしまつ。
西武鉄道は何を血迷ったのか、よほど直通運転がうれしかったのか、だれが乗るのかこんな高級住宅地巡りのフリーパス切符を発売して、
東急電鉄と営団地下鉄とお友達になろうとしているが、
練馬からきたどんくさいおやじの靴についた畑の泥は隠せるわけもなく、そうはいっても直通運転と、新宿、渋谷、表参道なんかの乗り降り自由は魅力的だ。
二子玉川や自由が丘ではお高くとまったマダムやいかにもお金持ちの子らしい高そうな制服着たぼっちゃんお嬢ちゃんがぞろぞろ歩いている。少なくともおやじのよれよれスーツより生地がよさげだが、そんなお受験おぼっちゃまくん学校に通っていてこの先世間に出て荒波に立ち向かっていけるんだろうか?
わしらが通った九州八幡の小学校は野生児の巣窟のような学校で、先生からしてお上品さとは無縁で、酒臭さ、腕っぷしで鳴らしていた。だもんだから、
「ぼくが」とか口にしたら、たちまち取り囲まれるようなところだった。「あのさぁ」とか「やっちゃって」とかいおうものなら転校する羽目になることだろう。だから、先生もどこか本人が猛獣そのもの、ないし猛獣使いみたいなところがあって、良くも悪くもワイルドだった。
池玲子主演の映画「アニマル学園たいまん勝負」さながらの学園で、だから荒波には慣れていて、
というより荒波を立てる側に立っているもんだから世間には違和感なく溶け込めるのだった。
田園調布には緑がたくさんあって、
これこそ誰もがうらやむ閑静な住宅地。
一見貧困や生活保護も縁のなさそうな町ではあるけれど、家庭内を通り抜ける北風やらすきま風、そしてすれ違いや不仲など家族に横たわる諸問題と無縁な町ではあるまい。
体調万全、きょうは飲めるだけ飲むぞ!
創業50年の隠れ家的な大山地鶏専門店「〇」は半身まるごと焼くもも焼きが名物だ。長きにわたる東京暮らしのなかでも、焼き鳥の部でいちばんのレベルだね。さいわい雑誌「男の隠れ家」とかに取り上げられておらず、客は地元の人ばかり。地元生まれの連れが「最近知った店」というくらいだから。
もう、油をしみこませたような唐揚げなんかは控えないといけないね。