ひさびさに怒りで体が震えた。
伊藤詩織さん事件の加害者の山口の記者会見。
その怒りを漫画にしたよしりんの「ゴーマニズム宣言」を読み、ぐつぐつぷちぷちあの時の許せない思いがよみがえった。
山口は外国人記者クラブでの会見で伊藤さんには「虚言癖がある」ともいっていた。つまり、うそをつく癖がある、と。唖然とした。
わたしは伊藤さんがどんな人か知る由もない。女性被害者だからとただちに擁護するつもりもない。
事実関係は裁判の中で裁判官が審理した通りであろう。
しかし、伊藤さんがどんな人であれ山口が「本当に被害のあった人ならば記者会見の席で笑ったり上を見たりテレビに出演してあのような表情をすることは絶対ない」とか「彼女はうそをつくくせがある」と公の場で主張したというその目の前の記者会見の光景だけで、山口が卑怯でさもしく、およそ信用のおけない蔑むべき男だと私は即座に断じた。
被害者として名乗りを上げている女性に対し男として間違っても口にすべき言葉ではない。
これは会見を自らの正当性を主張する場ではなく自身の人間性、品格の欠如を自らが露呈させる場にしたのに等しい。
浅はかにもこのことを山口は気が付いていない。
どこぞの財務大臣ではないがしゃべればしゃべるほど化けの皮がはがれ薄っぺらい本性があらわになる。
政権が国民や野党の目をそらしたいときこの困った大臣にしゃべらせたりするが自衛隊の空母に乗艦して見せたりしたときのようにそのもくろみが不発に終わるときもある。
「合意の上のつもりだったが、伊藤さんがそのように述べておらているのなら私に非があるといわれても仕方がありません、ついてはわたしの過ちをお詫びし謝罪いたします」というべきところだがそれではすむ話ではない。
これは「意識をもうろうとさせ」ていることが疑われておりとなれば合意以前の犯罪行為であろう。
最近の記者会見のシーンで目立つのは言い逃れ、ごまかしで、つごうのわるいものは処分し、あったことをなかったことにする、事実を認めない、開き直り責任をとらないということだ。
そして、自らの罪を人になすりつけ、自分はすりぬけようと、すっとぼけ続けようとする。政権がその模範を率先してやっているものだから政権の息がかかったとりまき連中がそれでいいんだとまねをする。
不思議だったのは詩織さんほどの知的な女性がなぜこんなみすぼらしくろくでもないおやじと行動をともにしていたのだろうか、という疑問だったがこの男なら山口さんの意識をもうろうとさせるようなことはやりかねないと思った。
政権とのかかわりや捜査への不当な圧力も含め、なんともやるせない、情けない事件である。
2020/1/25