「悪徳」佐分利伸 日本映画制作 昭和33年

「悪徳」

日本映画専門チャンネルで放送された。


当時の日本映画界は新東宝の労働争議や乱立などで混乱を極めており、この「悪徳」を制作をした日映は1年足らずで消滅しており「幻の日映株式会社」といわれている。

「日本映画発達史」(田中純一郎著)によれば

発起人に松竹会長、京王電鉄社長など財界人が名を連ね、その会社の目的を京王沿線桜ケ丘に撮影所と遊園地、主要駅に10の映画館をつくるとぶちあげたもので、映画界に新風巻き起こるとジャーナリズムはもちあげた。

しかし、株式払込の期日になって「京王電鉄社長の三宮の行動がおかしくなり、いったん払い込んだ出資は取り消され」、責任を取るという理由で社長を辞任、その夜から行方不明となっている。


理由として京王電鉄が新宿駅拡張で政府から融資をうけているにもかかわらず、日映に出資するのはおかしいだろうとの運輸省からの横やりが入ったこと、ほかに財界大物の東急会長後藤慶太の了解をとっていなかったことがあげられている。

わずか2作品で解散してしまい、フィルムもどこにあるかわからなかった貴重な作品

もちろんDVD化されていない。

当時のスターだった佐分利伸が監督・出演、木村功主演。

戦後の混乱と荒廃をいまだ残す東京の街の様子と風俗が描かれた貴重なフィルムでもある。それが4Kで放映された。


その作品を観ていて目にとまったシーンがあった。

悪徳たちが談笑するシーン

左端の大将。

これはあの神田神保町のてんぷらや「はちまき」の先代ではないのか。腹をすかせた学生たちにてんぷらをふるまった、あの大将。



佐分利伸はこの店をひいきにしていた

「悪徳」は幻の作品。いまの3代目はご存じだろうか。こんど聞いてみよう。

2021/4/21

作成者: user

還暦を迎えてますます円熟味を増す、気ままわがまま、ききわけのないおやじ

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