
練馬高野台駅前のゴールドジムで汗を流した後、エキナカにあるサイゼリアでビールとワインをいただくことが月に一度ほどある。

サイゼリアの客層は安さが売りのトライアルと似ている。
先月地元の駅前にオープンしたトライアル・ゴーに喜んだのもつかのま、総菜を、弁当を試食したところ、途中でもう無理、となってしまった。安さには理由があるとあらためて納得することになった。
サイゼリアもその安さで支持を得て、高校生や氷河期世代、年金生活者風の高齢者が多い。
このグラスワインも税込み100円で、デカンタ500mlで400円という驚きの安さ。
それでいて、そこそこいける。
食事は価格の限界に挑戦していると思われ、スーパーで買う総菜より安い価格設定になっている。だからその味についてどうこういうつもりはない。言いたい人にはいわせとけばいい。
先日、ソムリエがアップしたYouTubeでこのサイゼリアワインを特集していた。そのなかでこのグラスワインではなく1本1,000円の
「キャンティー・ルフィナ」について熱く語っていた。
「キャンティー」とはイタリア中部トスカーナ地方のフィレンツェとシエナの間に広がる丘陵地帯を指し、イタリアを代表するワインの産地。「ボルドー」や「ブルゴーニュ」、「灘」「伏見」などと同じ地名。
キャンティーは「サンジョベーゼ」という黒ブドウを最低70%以上使うことが条件で、白ワインと合わせて醸造することができるため、さまざまな味わいが楽しめる。
「イタリアワインの顔」といわれている。
「ルフィナ」は「キャンティー地方」の「ルフィナ」という場所。
2,000円の「キャンティ・レゼルバ」
レゼルバは「サンジョベーゼ」80%以上、白ワインをまぜちゃいかん、そして法律で熟成期間が2年以上と定められており、まちのレストランだと5,000円以上はする代物だ。

サイゼリアのために醸造されたワイン。カベルネ・ソービニオンが10%、メルローも同じく10%使用されている。
このワイナリーはサイゼリアとは30年以上のおつきあいで「ラファエロ」はサイゼリアのためのオリジナル銘柄。
ここでサイゼリアの創業者の「正垣」さんは信念の人で「ワインを日常の飲み物にしたい」と安く提供することにした。
利益はほとんどでていないと思われる。
ただ、ほんとはボトルでいただきたいが、飲めなくはないけど一人では飲みきれない。
あきらめていたのよ。ずっと。
飲みきれなかったら持ち帰れる、と!
ソムリエ「青池」さん教えてくれてありがとう!
フロア係のおばちゃんに伝えるとにこにこしながらビニール袋をもってきてくれた。
おそらくワインについての創業者の思いをスタッフにも伝えてあるのだろう。
ただし、ボトルは小売りしておらず、飲みきれなかったときだけ。
創業者の魂に触れた気がした。
これからはリスペクトをもってこの店を大切にする。
目の前のテーブルでは高校生のアベックが静かに勉強している。
不良っぽい中学生や高校生をよく見かけるけれど、そうではなくまじめにテキストを追いかけている。
ぼくはお勉強はひとりでするものと信じているが、このさわやかなふたりの姿はほほえましく映った。
きっと、この二人はおたがいがかけがえのない、おそらく生涯を通して大切な人になるだろうという予感がして心の中で二人の幸せを祈った。