山手線・鶯谷 「大弘軒」2018.3.24

山手線の29の駅のうちもっとも寂しげでひっそりしているのはこの「鶯谷」であろう。4年間の北九州へ単身赴任しているあいだに、訪日観光客のために鉄道路線の各駅に記号がつけられた。この鶯谷には「JK32」が付された。


隣はあの、「あぁ、上野駅」の天下の「うえの」である。駅の小さな入り口に自動改札が3台ほどある。この駅が「ひっそりしている」のには訳がある。よくご利用されていた諸兄にはいまさら説明するまでもないが、ここは「山手線きってのラブホテル街」を擁する駅で、一日中腕を組んだカップルが出入りしている。人目をはばかり、ときにこっそりと、あるときには堂々と。アジア系の外国人の姿も多く見かける。

それゆえ、山手線でありながら「奥座敷」のようなたたずまいを見せている。そのため、「JK32」というコードネームがつけられたのであろうか。むろん、「JK」とは女子高校生のことをさす。


在職中山手線の定期券を持っていたおやじは帰宅途中、夜な夜なすべての駅に降りてそれぞれの街を時間をかけてつぶさに探検してきた。そして、この「鶯谷」のファンになったのである。ただし、誓っていうが「JK]と腕を組んであるいていたわけではない。昭和の店に弱いおやじのハートをわしづかみにしたのはこの店。改札口の真正面。

大弘軒。「Hotel Taikoken」 ではない!


あまり、ご紹介したくない。こっそり内緒にしておきたかった。この見事なまでの「昭和」。「おそ松くん」に登場する中華料理店そのまま。客はいつもぱらぱら出たり入ったりで、ほどよい。しかも、典型的な東京のさっぱり味のしょうゆラーメン。一品料理もおやじは太鼓判をおす。いい店のメルクマールとしている「ビールの大瓶をだす」店。スポーツ新聞、週間現代などの脇役も健全に正しく置かれている。フロアの「おばちゃんの一歩手前」のおねえさんはきりっとした顔立ちで美人であることも、さらに気さくでありながらなれなれしくないところも途中下車する理由である。チェーン店の「〇高屋」とか「福〇ん」とかでは落ち着かない。そわそわきょろきょろしてしまう。「客が落ち着かないように」してあるからである。



そして、その隣の定食屋もまたいける。「大弘軒」は早々と閉店してしまうので、残業で遅くなった時の食事はここ「信濃路」。なにも鶯谷で途中下車しなくても、と思っているあなた。品川、神田、秋葉原、御徒町、上野、日暮里、池袋があるのになぜ?とおっしゃるあなたにはこの優雅な楽しみはわかるまい!


2018.3.24