「FX取引」に挑戦する。口座を開き、こづかい程度の元手でどんなものか試してみよう。在職中は売買注文の時間が限られる、退職後なら朝昼夜相場をチェックしながら時間を気にせずできるし、と。初心者向けの情報誌でひととおりわかったつもりとなる。かつて、大きく為替が動いたときに一獲千金のFX長者が誕生したときがあった。その後彼らは逆に大損したりして為替市場から去っていった。私の職場にもFXにのめりこみ、これで食っていけると退職した後輩がいた。名前は「川瀬くん」といった。FXとともに生きてゆくことが運命づけられているような青年だった。「為替くん」と化した彼のその後は知らない。
結論から言うと、FXは為替相場のその後をレートを予想してお金をかける、「売りか」「買いか」「上がるか」「下がるか」のふたつにひとつの丁半ばくちである。「レバレッジ(てこ)」を効かせ元手の何倍何十倍もの通貨を売り買いできる。そして相場は24時間這い回り上下し、大きくはアメリカのドルを基軸として動いており、各国通貨の対ドル相場が基本となる。英国・米国市場が動き出す、かといって証券取引所のような賭場がオープンするわけでもないが、深夜に荒い値動きをするのでおちおち寝ていられない時もある。そのレートの上下の要因はさまざまで各国の政策金利や株式相場、成長率などのファンダメンタルをベースに、雇用統計、失業率などの経済指標の発表などをきっかけに乱高下する。2年まえの2016年6月のイギリスの国民投票でユーロの離脱が決まった時、ポンドが大きく値を下げたのは記憶にあたらしい。選挙、戦争、石油、政策会議、あらゆるものが為替変動の要因となる。
「丁半ばくち」といったが、サイコロの目でその都度清算されるわけではなく、生き物のように世界中1日24時間1年365日(基本)動いている。相場が上がったり下がったり、客は時間の推移とともに買ったり負けたりする。これから「下がる」と読んで「売り」ポジションから取引をはじめる。そのまま下がる一方なら「しめしめ」だけれど、レートが「心変わりして」反転上昇、逆に「めそめそ」するはめになる。そうかと思えば、やっぱ、「下がるか」とまたぞろ下げてみたり。女ごころと秋の空以上である、と思う。
変動するレートとの勝負であると同時に人間の欲との闘いでもある。「いつ、決済するか。(売りポジションの場合買いの決済)」を決めるのはひとえに「川瀬くん」の欲にかかっている。「もっと下がるはず」「利益確定をここらでしといたほうがいい」「これ以上損はしたくない」あらゆる欲と道連れの秋の空である。「FXこうやればよかったんだ」でその気になって半年やってみたが「こうやってもだめだっだ」で、「目からうろこも落ち」なかった。その大きな原因はやはり、おやじの、というか人の、心の中の性質そのものにあった。恥を忍んで原因を列挙してみる。
- 「このままユーロ高になるに違いない」「ポジションに反して下がってはいるがユーロ安は132円で下げ止まるはずだ。」などの根拠のない思い込み。世界の政治経済情勢の変化を読む情報を持ち合わせていない中で博打を打てるはずがない。
- 「利益」(未決済)がでているとき、すぐに目の前のもうけを刈り取りたい、確定したいという欲。大きくいいほうへ値が動いているのに小銭ゲットに目がくらむ。網に魚がそこそこ入っているときに網をあげてしまおうという衝動で決済してしまう。(網は海中を漂っているため魚が入ったり逃げて行ったりしている。)
- 「損失」がでているとき、損を頑なに認めようとせず、かってにこれくらい下がればそろそろ反転するはずだ、と放置し、反転しないまま大きく損がふくらみ、これはまずいと損出しを余儀なくされる。(実際に反転することも多々あるのだが)
- 結局3でやられた1万円札の損失が2でこつこつ貯めたぶたの貯金箱の500円のじゃらじゃらを上回ることになる、ということか。
最終的な結論、「やらんこと」!2018.3.15 確定申告ごくろうさまです、、、