仕事に飽きると「逃避行動」に走る。体の防衛本能が自ら課した仕事からストレスを回避させるためと、いわれている。(はたぼー博士による仮説)
そして逃避行動が長引くと体の学級委員本能が自らの防衛本能をやさしくなだめ諭し、保健室から教室に連れ帰る。
そんな朝は「東京新聞」の1月8日朝刊の「筆洗」というコラムをぼんやりながめる。
そこに、「昭和の2匹」の怪獣としてウルトラマン「ヒドラ」と宇宙猿人ゴリ対スペクトルマンの「クルマニクラス」(写真)のことが紹介されていた。
いずれも交通事故に巻き込まれた怒りが生み出した怪獣ということだが、私はとっさにそのネーミングから「車に暮らす」怪獣のことと勘違いした。各地を転々とする自分と重ね合わせ、自分がどんな怪獣になっていくのか興味を持った。
胴体にはスポーツカーにひかれた時のタイヤ痕が残り、肩には「進入禁止」の交通標識があって、手はレッカーに引っ掛けるフックになっている。
自分を轢いた「車が憎い」怪獣のことだった。
怒ると目が赤信号となったり、スポーツカーを壊してまわったり、口から排気ガスを吐いたりと、その破壊行為の目的は「交通事故のぼくめつ」で、新聞のコラムでは昨年の交通事故死が過去最低となったことを引き合いにしている。このかいじゅうたちの祈りと活躍によるものであることに疑いはない。
「よい子を守る交通安全かいじゅう」だからどこぞの一日警察署長をしていたのだろうことは想像に難くない。
しかしそのネーミング。いいなぁ。「クルマニクラス」。ジャックニクラウスのようでもありアルマーニのようでもあり秀逸である。
怪獣がただ暴れまわるわからずやのならず者だったころと違い回を重ね社会問題をまとって登場するようになると、ウルトラマンであれ、ウルトラセブンであれ、宇宙猿人スペクトルマンであれ、ただやみくもに怪獣をやっつければいいというのではなく、怪獣の中にはやっつけてはいけない「よい子を守る」かいじゅう、社会の犠牲者が不幸にも怪獣となってしまったやつもいてやれやれたいへんな時代になったものだとヒーローたちも思案顔。
おやじのは「クルマニクラス」でも車に恨みはなく「車に暮らす」そのまんま。
そのまま名前を頂戴させてくだいさい。
第23話「あおり運転車中泊怪獣クルマニクラス!!」 第24話「危うし!!道の駅クルマニクラス」に登場。 仕事に煮詰まり行き詰まり逃避行動をとるようになったはたぼーという初老のじいやのもつ改造された車の精神エネルギーが、はたぼーが作った怪獣の人形の形を取って誕生した怪獣。 顔についている信号機は目であり、割り込まれた時に怒りで赤のランプが強く発光し、クラクションを鳴らしながら車のあおり行為をする。テレポーテーションで伊豆や八ヶ岳、北九州方面を中心に現れ、口からは容赦なく毒排気ガスを吐く。弱点は「あおり運転防止法」と「週刊文春」。
「あおり運転などしたことのない」と口にする人は間違いなく「あおり運転をしてきたやつ」で間違いない!安全運転をこころがけましょう、みなさん!
2020/1/8