開店を待ちきれないご近所のご隠居が入口に集まっている。
山梨の桃の季節は7月初旬の県境の笹子トンネルを抜けた日川地区の「日川白鳳」からはじまりお盆あたりの「川中島白桃」までの1カ月ほどでもちろんみずみずしい上品な甘さの「白桃」が出回る7月下旬から8月上旬の笛吹川あたりのやつがベストである。
毎年買い出しにでかけている。去年はコロナで見合わせた。
今回は韮崎にある「よってけしJA梨北」のはねだしものを仕入れることに。韮崎産の日川白鳳。傷んでいて配送はできない。送ることができればみなさんのところにも送れるのだけれど。
ほかに6個入りの化粧箱に入ったやや状態のいいのはねだしもんがひと箱650円。これは建て替えでご迷惑をおかけしたご近所へ。
売り場からなくなってもすぐに倉庫からもってきて並べてくれる。
梨北米を精米してもらっているときにピーマン、大根だのしいたけだのかぼちゃだのをかごに入れる。驚くほど安い。「道の駅」の野菜は観光客がおもなお客だからか東京よりもいくぶん安くしているだけという印象。かぼちゃとたまねぎで夏カレースープをつくることに決めた。農機具や肥料なんか売っていて地元の軽自動車がやってくるJAの店でよぉーく確かめてくらべた上でかしこく購入されたい。
地元の富士見台駅構内のスーパーの野菜の高いことといったらない。競争の原理が働いていないからか引っ越ししたいくらいだ。野菜が高騰したときだけ取材を受けるTVでおなじみの八百屋のスーパー「アキダイ」は残念ながら隣駅にある。隣駅に移住したい。構内の店舗賃料が上乗せされているせいかとも思うがとなりの駅の大手スーパーなんかはそうでもない。まいにちの食事をあずかる主夫として頭が痛いですわ。
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さて
草津温泉。わたしは「たまにやってくるご常連」である。温泉県の山梨には温泉はあちこちになんぼでもあるけれど、朝6時前から入浴できるとあって重宝している。
この銭湯にはへんな風習がある。
「ご常連がご常連の背中を流す」のがあたりまえで、誰かが洗いはじめると誰となく背後から近づき背中を流すのを手伝う。流した後は別の男がやってきて湯船から洗面器でお湯を汲んで背後からぶっかける。
「おはようございます」「さきにしつれいします」「おつかれさまです」の体育会系の怒号のようなあいさつとともに、体を洗ったあとだけではなく、洗髪が終わったころあいをめざとく見つけていろんなおっさんが入れ代わり立ち代わりシャンプーの泡まみれの頭めがけて背後からお湯をけんかしてるみたいにぶっかける。ぶっかけられ、けんかを売られたほうは「ありがとうございます」とこれまた帝国陸軍の二等兵状態で浴室に響きわたる声で絶叫している。「かすれた声をした」ご隠居はひとりもいない。
水をかけられる博多の祇園山笠の宵山をおもいだす。締め込み姿の若くたくましい男の締まったお尻をうっとりながめる九州の女たちが群がる男の夏祭りである。
この「草津温泉祭」は早朝に年中くりひろげられる甲府のすっぱだかの男たちの勇壮な奇祭である。
このお祭りの観覧料は430円だけど早朝でないとこの奇祭は拝めない。女官が番台に鎮座しているが女人禁制の高齢者による世にも珍しいお湯かけ祭りである。
このお祭りには1カ月から2カ月に1度くらいしか参加しないけれど番台のいつも冷静で落ち着いた女官には顔を覚えてもらっている。
ただ、ご常連さんではない。
このかけ流し温泉の「草津流れ」の締め込みしてない荒ぶる男たちから洗面器でお湯をぶっかけられるようになったら、そしておいらも甲州の血気盛んな男めがけて気お湯を気合をいれてぶちまけられるようになったら晴れてりっぱな「ご常連」ということになる。
いまそれをやったら簀巻きにされて「高温の湯」の湯ぶねにダチョウ倶楽部のように放りこまれるのがおちである。