池袋のサンシャインシティーにあるウルトラ兄弟の秘密基地。
ゆうパックで送られてきた「宇宙ケシの実」を食べた子供たちはこの基地に集められウルトラ戦士のオーディションを受けることになる。
ウルトラマンゼロじきじきの面接は「お受験」めいていてじつは両親が3歳までどのように育ててきたかを観察される重要なセレモニーだったのだ。
ウルトラマンゼロは思いのほか大きく、Rは「こわかった」ということだった。
面接はステージ1とステージ2と2回行われる。
思えばウルトラマンのデビューはじいじが小学生のときで1966年に放映が開始された。以来55年もの長きにわたり怪獣や宇宙人と戦い、地球を守り続けていることになる。
うちにカラーテレビがやってきたのとあわせてはじまったものだから、あの赤とシルバーのメタリックなコスチュームが衝撃的であざやかに印象付けられた。
創業者であるウルトラマンもとうに引退し悠々自適の暮らしで、セブンだのタロウだの、エースだの、タイガ、ティーガ、ゼット、ゼロ、いちいちちょこまかマイナーチェンジしながらめんどくさく代替わりし事業は親から子へ、子から孫へと受け継がれている。
老舗だから創業時の看板商品からいまだに抜け出せないでいる。
ひんぱんな代替わりはIOC同様巨額の放映料を得るためであり、池袋で開催中の面接会場の維持費やベートーベン会長への高額な報酬と関係スタッフの1部屋300万円からのスイートルームの滞在費を賄うためである。
どうやら国際ウルトラマン協会(IUC)の会長は「ノーベル平和賞」を狙っているのではないか。被災地福島ではなく何が何でもヒロシマに行こうとしていたのは平和賞を意識してのことだろう。
いっぽうで怪獣村のかいじゅうたちは段ボールのベッドでTVも冷蔵庫もない中世のような部屋が用意されていたうえに、自動販売機のコカ・コーラが280円というからたまらない。
さらにはお台場の下水処理水のなかで泳がなくてはならなかったり、炎天下の有明のテニスコートで何時間もラケットをふりまわす気の毒なかいじゅうもでるしまつ。
それもそのはず怪獣をいじめたことのあるプロデューサーが大会運営にかかわっているとのことがついこないだ発覚し、大会委員会が辞任させたばかりである。
もうひとりは「かいじゅうはみなごろしだ」と叫んでいたというから驚く。
かいじゅうたちはといえば、レッドキングやバルタン星人、ゴモラなんかはいまだ現役でいたぶられ続けている。引退を申し出たが借金を理由に認めてもらえない。個室の控室のあるかいじゅうはともかく、大部屋の悪役たちはギャラも安いし、こどもには蹴られ、ののしられ、おまけに怪我がつきものなのに治療費もでず、保険もきかず、踏まれたり蹴られたりでまるで報われていないのではないか。
「R」は気が付いていないが、この「お受験」では考査課によってこの子は代替わりのはげしいビジュアルヒーロー路線でやっていけるか、時給は1000円だけどやりがいのある終身雇用の悪役のほうが向いているか判別され、さらには営業向きか経理課向きか、公務員向きか大岡越前守から8月16日に白洲の上でお沙汰があることになっている。
ステージ2のプレミアベンチシートも待っている!
2021/7/26