「鈴木(敏文)さんが描く未来の世界は普通の人には見えない」(清水信次ライフコーポレーション創業者)2022/6/14

戦後の小売業は破綻の歴史だった。

「消費者の変化に対応できなくなった」巨大小売店グループは破綻するか解体されるかどちらかだ。

ダイエー、ヤオハン、そごう、セゾングループ。

中堅小売店はともかく残ったのはイオンとセブン&アイのみ。

とはいえイオンは廃墟のようになってしまった地方のモールがあるようだし北九州の巨大アウトレットも先行きが不透明と映る。

百貨店の凋落の原因が高級品の小売店への場所貸し業であって自らが商品開発をすることをしなかったことにあるならば、イオンモールもアウトレットも同じではないか。

車社会に移行したいま、お客さんを受け入れる大きく停めやすい駐車場があるかないかの違いだけではないか。

その点でセブンイレブンとは決定的に違う。

フランチャイズ加盟店はただの小売店ではなく商品の販売にとどまらず付加価値のついたサービスと独立したオーナーとの本部が共存共栄を図っている。本部は「場貸し業」を営んでいるわけではなく加盟店はれっきとした誇り高い自営業者だ。


イトーヨーカ堂創業者の叔父が戦後まもなく北千住で開いた蕎麦屋の跡地の3坪の洋品店「羊華堂」がルーツで、そこに「トーハン」をやめてやってきたのが30歳の鈴木敏文さん。あえて「さん」付けで呼ばせてもらう。

コンビニは「セブンイレブン」しか利用していない。

「おやじ車中泊の旅」でもご近所の買い物でも。

はかのコンビニがセブンの後追いのまねばかりでリスペクトできないからだ。

セブンが出店した場所ならとコバンザメみたいにその地区に出店するコンビニさえあるくらいだ。

ただし、ファミリーマートが実証実験を経て病院の「処方箋」を扱うようになったというニュースを先週聞いた。

調剤薬局での待ち時間。家にいてもやることのないじじいは別だけどこの時代、あれほどばかばかしい無駄な時間はないと思っている。

混んでいるときは抜け出して本屋行ったり八百屋にいったりしている。

受診後すぐに薬を飲まなければならない人は別として、薬剤師さんたちがガラス越しに一生懸命薬を用意してくれているのは見えるけれど、医師の診察とは違ってお客を待たせる必要がある業務とは思えない。


病院から処方データを受け取り、用意ができましたの知らせを受けて近くのファミリーマートにとりに行けばいいだけ。問題は薬剤師の説明責任をどうクリアするかだけど、いつもなぜ症状を聞いてくるのか、いつも同じ薬なのにいちいち説明するのかうるさくて仕方なく「先生に説明したのになぜまたここでいわなくてはならないんですか」ときれたこともある。

ぐあいが悪くなりそうだった。

説明したところでどうなるわけでもないし、薬剤師のチェックは医師の処方誤り(多いらしい)にとどめておいていただきたいと思っている。

保険の点数もかかわってくるからかな。

乱立する調剤薬局には「黒船来航」となる可能性があるがことの重大さに気が付いている調剤薬局がどれほどあるだろうか。


コンビニは飽和状態といわれているけれど取り扱いサービスという点での可能性はいくらでもあるのではないか。

鈴木さんのようにその可能性が見える経営者がいまのセブンイレブンにいるのかどうか。

周囲の反対を押し切ってでもあらたな時代を見据えたサービスを立ち上げる勇気があるかどうか。

井坂さんたちがファミリーマートのまねごとに走らないよう祈る。

セブンが他社のまねごとをしはじめたらもうセブンではなくなる。


ぼくがいちばん評価しているのは鈴木さんがはじめるにあたり周囲に猛反対されたセブン銀行。

メインのみずほ銀行からATMで20万を引き出したその足でセブン銀行に入金し、土日であろうと5万円ずつ小出しに下ろすようにしている。わざわざ銀行にいきたくないしATM手数料は1円も払いたくないからだ。

振り込みはネットのみずほダイレクトでするからもう銀行の窓口にいくことはほとんどない。窓口がおばさんだらけになってもなんともない。お金も借りることもない。

公共料金や税金も日本全国24時間のセブンで待つことなく。(早朝深夜は閉店していて痛い目にあった軽井沢地区はべつ)

この経営者の考えることやってしまおうとすることはおどろきばかりだ。

鈴木さんをアメリカのヘッジファンドと組んで退任へと追い込んだ創業家と現社長の井坂さんへの評価はその後のセブンがなにを見つめてどうかわっていったかを検証すればいい。

いずれにせよセブンの成功はヨーカドーの伊藤さんの「商人であること」の経営哲学と鈴木さん先見性と行動力が化学反応をおこして、というかまじりあわずに歩いてきたことで可能となったようだ。


セブン銀行を立ち上げた当時ATMは1台800万円していた。それをNECと交渉して店内設置で防犯コストをさげる条件で200万円にしてもらったという。

店内に設置することで日本全国2万1千ある店舗の売上金を夜間金庫に預けにいくこともない。

銀行には全国の店舗からの入出金が、預金が集中し全店舗の信用金庫みたいになる。

店内はかならず雑誌コーナーが道路に面している。立ち読みしている人にガラス越しの不審者が見えるように。逃げる犯人の姿が追えるように。ともに防犯のため。

商品はどこぞのスーパーと違って「後入れ先出し」が鉄則だ。ためしにチェックするとよい。

「死にすじ」商品を排除するため徹底的に個別に商品の在庫管理をする。これはもう30年以上前からあたりまえのようにやられていたようだ。

セブンイレブンに納入するためだけの工場を建設したメーカーもある。


いま困っているのは郵便。

どうしても郵便局にいったりポストに投函したりしなければならないときのわずらわしさ。

民営化とはなんだったんだろう。小泉くん。

投函して4日もかかる普通郵便。レターパックも速達扱いといいながら都内でも数日かかっている。

「何人も郵便の業務を業とし従事してはならない」のです。

「信書」は委託を受けたもの以外郵便局の独占ということ。

通信の秘密もあって信書は「民営化」されていない。

鈴木さん、前近代的な郵便業務をなんとかしてください!


逆に注目しているのが福岡に本社のあるディスカウントストア「トライアル」

田川店

この地方の量販店の店舗のレジがいくたびに進化しているのだ。

東京に住んで買い物していることが時代遅れに思えることがあった。

レジカート。

「買い物カートにタブレット端末とスキャナーを搭載した」スマートショッピングカート。

もともと本業がスーパーマーケットではなくソフトウェア開発のIT企業で、

つまりIT企業がはじめたディスカウントストア。

都内や練馬の近隣のショップでも見たことがない決済システム。

山梨の韮崎にあってちょくちょく使うけど(スマートショッピングカートはない)まだ神奈川では3店舗しかなく東京に店舗はない。

魚、肉あたりは安いけどちょっとね、と敬遠しているけど雑貨などは安く24時間営業。

この「トライアル・試み」という名の企業が小売店の未来をどうみているか、なにを変えていこうとしているのか興味深い。

巨大店舗系だから都内にはむずかしいだろうけど訪れるたびに驚かなくてすむようにお待ちしてます(@^^)/~~~。


作成者: user

還暦を迎えてますます円熟味を増す、気ままわがまま、ききわけのないおやじ

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