オークションで絵画が落札される。
ふつー、ゴッホやセザンヌの肉筆の作品などの実物、形あるもの。
それが、デジタルアート作品がクリスティーズのオンラインセールで落札されるようになった。
2021年3月にBeeple氏の作品が75億円で落札された。
もう日本通運に額縁ごと厳重に梱包して保険をかけて運んでもらう必要もない。
電子マネーがあたりまえになったいま、当然のなりゆきかもしれない。
デジタルアート自体は無限に複製することができるため、暗号資産であるビットコインに使われている「ブロックチェーン」というネットワーク技術を用い、複製、改ざんができなくしてそのデジタルアートが唯一無二のものであるというお墨付きを与えた。
そのお墨付きを付与する技術がNFT(非代替性トークン)。
「トークン」ってネット銀行がではじめたとき不正を防止するために取引をするたびごとに銀行から送られてきた「トークン」にあらわれる数字をパスコードとして入力するようになっていた。
ぼくがぼくであると証明する数字が刻々と変化し、ぼやぼやしていると取引実行をぽちっとやるまえにかわっていた。
もうかれこれ20年くらい前でネットオークションでの決済に使っていたときのこと。
チェックしてみる。
もうすでに「Japan Net Bank」はなくなって、PayPay Bank にかわっていた。
そして、トークンも、カード式にかわりさらにアプリでワンタイムパスワードを表示させる方式になっている。
変わってないのはぼくだけ。
「トークン」は日本語に訳しにくい単語でどうしてもとお願いして無理に訳そうとすると「証拠」「記念品」などとなるそうだが、いろいろひっくるめて「何らかの印」、「おしるし」を意味する。
だから、ネットバンク上でのこのトークンは「ぼくがぼくであることのしるし」のツールであるということと理解した。
暗号資産はFT(Fungible Token)、NFTは(Non-Fungible Token)の技術が使われその違いは代替性があるかどうか。ファンジブル。数量や品質において同等の商品と代替・交換可能な。
なんとなく現物ではなく同種同量の円貨で返済する「消費貸借契約」と似ている。お金には個別の識別情報はない。
NFTが組まれていると世界にひとつだけのものという唯一性、個別の識別情報が付与される。
暗号資産では通貨としての流通が前提となるため、代替性のない「ぼくのためだけのしるし」ではこまるということか。
取引所(マーケットプレイス)の手数料は2.5%(「Open Sea」のばあい)
この技術によってデジタルアートといえども世界にひとつ、あるいは100個限定といったぐあいに取引ができるようになる。
「トークン」ってなに?って聞かれたら、
「トークン」は「トークン」って答えるしかない。
これ以上聞いてきたらしまいには怒るで!
デジタルである以上コピーが絶対にできないという保証はないけれども非常に困難とのこと。
これはデジタルアートの世界だけではなく、デジタルを用いた作品全般に使われる技術ではあるがNFT自体に価値があるわけではなく「価値の乗り物」といえる箱(ケース)みたいなもの。
さいきん、和訳できない英単語が、とくにITの世界のテクニカルな英語において顕著にみられる。
技術をベースにしているため、かんたんに訳せない。
だから、そのまんま東で使われることになる。
車の性能を示す「トルク」もそうだ。馬力みたいなイメージだけど違う。
理系のともだちに説明を求めたがなにやらぶつぶついっていた。
早い話、「動かそうとする力」みたいなことがいいたそうだった
自転車をさいしょにこぎだすときの踏む力、みたいな。
馬力=トルク×回転数で求められ、エンジンの回転数と排気量で決まる。
日本の技術者も世界を驚かす技術をリリースし、世界中の人たちがその翻訳に苦悩する姿をみてみたい。
デンソーの社員の妙に明るいおじさんが発明した「QRコード」もどうどうと日本の技術であることを示すために「オサム」とか「SEIKOーなぎさのバルコニー」とか「オリビアーそよ風の誘惑」とか気の利いたネーミングにすべきだった。
すると「そよ風の誘惑」は「Have You Never Been Mellow?」と英訳するはずだ。きっと。
「おしるし」だとどう英訳する?「Sign」、「Show」それでいいの?
うっせーわ。
「oshirusi」!