デビューして間もない高倉健主演の映画。
東映チャンネルでは健さんものは小出しに放映される。
健さんは「九州のいなかから東京にでてきた石炭を掘っていた」男という設定だ。
じっさい中学生のとき若松の貯炭場で勤労動員の石炭運びをしているとき米軍機の機銃掃射を受けている。
そして、ひょんなことからボクサーとしての資質をみいだされ、不本意ながらも勝ち進みタイトルマッチにかつぎだされることになる。
演ずる一本気で不器用な早口の青年は健さんそのものではないか。
むりにリングに上がることになった試合だったが、トレーニングを積み勝ち進むが大切なものを失うことになる、、、
昭和の30年代の盛り場のようすがたまらない。
下町の京成立石あたりにいかないともう味わえない。
ボクサーを夢見ながら健さんのマネージャーとなった岡田英次も若い。
定食Aは40円、Bは60円、とんかつの並は50円。ビールは120円もしたのか(とうぜん大瓶)。
食料品やガソリンの値上げなど痛くもかゆくもない上級国民富裕層の黒田日銀総裁はなんというか。
その後刀をもって任侠路線を歩くことになることを予感させ暗示するシーン。
どこか不器用で、寡黙で、怒りを秘めたストイックなまなざし。
貴重な作品。
まだ、健さんものはもう少し未視聴の作品がある。
ぜんぶ揃ったら「東映チャンネル」を解約しようと思っているが、東映の小出し契約引きのばし作戦でなかなかやめられないでいる。
「仮面の忍者赤影」とか「プレイガール」はもういいからおねがいします。
しかもさいきん任侠シリーズを4Kコンバートして再放送しているもんだからいちから録画のしなおしをするはめになった。
「東京丸の内」「鬼検事」もまだですよ。東映チャンネルさま。
東映は昭和35年時点で全映画業界の三分の一の配給収入を稼ぎだしていた。映画館の数が全国で7547と最高となりそのうち日本映画専門の映画館が6190、東映が契約している映画館はじつに46%以上というからすごい。「東映10年史」
ついでに、ぼくの敬愛する「新東宝」について、
映画評論家の田中純一郎氏はこう評している。
「(作品の)内容はいままで講談や浪花節で伝え古された話と今度の戦争にかこつけたエロ・グロものが多い。」
エロ・グロは認めるけど、三流風俗週刊誌扱い。あんましじゃないか。