ヤフオクは20年以上の出品と落札でだいたい様子はわかる。
今回「メルカリ」デビューした。
「せどり」というビジネスというか「商売」がある。
転売でもうける商売。
そのむかし中国の古代王朝に「商」(殷)というのがあった。
そして「周」に滅ぼされ、人々は流浪の民となる。
この流浪の民には支配者となった周は土地の所有や生産活動を許さなかった。
商の人々に物々交換のみを生業とすることを強いた。
それが「商売」となり「商人」となった。
「商売」を賤業としてさげすむ意識は江戸時代の身分制度にもあらわれている。
問屋をやってそこそこうまくいっていた祖父は商品を右から左に転がすことで儲ける仕事は正業とはいえない、ということをいっていた。
少なくとも生産的な仕事ではない。
そして、そんな商売ではなく人々がお願いしますと頭をさげて頼みにくる仕事をやらんといかんといっていた。
大学生のおじさんや小学生だった私たち孫は夏休みの生家の畳の部屋に正座させられ足がしびれるのをこらえながらその退屈な話をきいていた。
そして祖父は母が若い時には「薬剤師」になれと命じた。
そのときは「はい、わかりました」とすなおに従う母ではなく、下賤な?「商売」を続けた。
経済団体のトップに流通業である企業の社長が就任したときそれだけでニュースとなったほどだからいまでも「下に」見られているのは否めない。
「せどり」は副業としてひろくおこなわれているがそのプラットフォームの最大のものが「メルカリ」だろう。
自宅のパソコンで商品を「転がして」月々10万円を稼ぐ主婦などもあらわれた。
オークションではないから値引きはあっても落札はない。
今回買い取ったものはAdobeの「PhotoshopElements」と「PhotoshopPremiere」で画像と動画加工ソフトだ。
ところが商品はすぐに届いたが「正規版」ではなく「学生・教職員」用の廉価版だった。
すぐにその旨を伝えたが、出品者に商品への知識がなくどう対応いていいかわからずおろおろしていた。
いっている意味がわからないようだった。
ほどなく「キャンセルし返金いたします」の連絡があった。
ようするに生活雑貨を扱う主婦(かどうか知らないが)がたまたま手に入ったソフトのパッケージを転売したとみられる。
キャンセルをめぐる一連の手続きにはメルカリのシステムはよく対応できている。
これまで落札してきたヤフオクのどの出品者もITの知識が豊富で商品への質問に対してその都度即座に適切な回答と対応をしてきてくれていた。評価の高い専門的なスキルをもった業者だった。
メルカリは小遣いかせぎのしろうとの参入が多いのかなと思った。
6.5ポイント差で「軍配をあげる」というのもどうだろうか。
すくなくとも雑貨や衣料品ならともかく「ITがらみや精密機器」などは手をださないほうがいい。
差益を稼ぐ人々の「俗説」のほうを選びたい。
たとえばロシアの原油は地底に埋まっているだけでは価値はない。それを採掘して、商談を成立させてドイツなんかに運んではじめて価値を持つわけだからその意味では「流通業・商人」の存在価値がある。
「下賤」とはいわないが、上前をはねる、掠めとるようなことにはどこかうしろめたさがある。
また、「上前をはねる、掠めとる」ようなビジネスを展開する業者がネット上であふれている。
そして、自分の仕事はどうなのよ、といつも自問しながら。