なんでいままで予備校を毛嫌いしてたのかわからなくなった。
独学のできない野郎たちのためにあると思っていた。
TAC池袋校に66歳で入学して生徒となって、せんせーの黒板とチョークと黒板消しの講義を聞く。
講師を一目見たとき、髪型が幕末の脱藩浪士のようで少しひいた。
見た目が大事でやめようかと思った。
ところが受講してみてこれだけわかりやすく、気持ちの良い講義ははじめてではないかとさえ思った。
言葉に無駄がない。鼻につく口癖も、うるささや、ことさら演出することもなく。
ひとつひとつの言葉がテキストの前後の説明と関連付けられている。講義内容がしっかり前もって準備され計算されている。
いくつも受け持ってきたこれまでの講習会での自分の講義がみすぼらしく思えた。
書店では売ってないテキストもよく練られている。
メディアプレーヤーの操作性も良い。
参りました。TACさん。
就職したとき、すでに学生時代から志を立て、水道橋のTACに通っている同期入社の慶応出身の同僚がいた。
そのときのぼくはおよそ実務とはかけ離れたことばかりにうつつをぬかしてうだうだしていた。
学生時代から予備校に通うやつらをどこかで軽蔑していた。
そのやつらはすでにギアをあげてそのころから疾走していて、とうに手の届かないところにまでいってしまっている。プロのコンサルタントとして。
これからどう生きるべきかを問いつつ将来を見据えた実務的な専門性の追求とこころを豊かにするための暮らしとの共存、その住みわけができなかった自らに幼児性があったと思う。
これまでうつつをぬかしていたそれゆえの予備校生。
わきまえてやってきておれば、この程度の(失礼)の講座をいまになって受講などしていない。
ある程度わかっている分野だからこそ、テキストや講義の内容の完成度がわかるのかもしれない。
池袋校の若い女の子のスタッフの対応にも好感がもてた。
おじいちゃん、何しにきたの?と受付で怪訝そうな顔でみられることもなかった。
やはり、若者たちが多かった。きびしい就職環境で資格を取っておきたいとやってくる若者が。
そして、遅れてきたチャレンジャーのじさまが。