ジョニーデップといえばあの海賊のおじさんだ。離婚訴訟もたいへんそう。
この作品は公開当時映画館に行くつもりだったがコロナもあって見逃していた。
石牟礼道子さんの「苦海浄土」と接したものとしてこの作品のメッセージを受けとりたい。
このチッソによる犯罪はぼくたちが生まれた1956年に公式に発見され、高度成長の喧騒の裏側で小中学生のころに「水俣病」として社会問題化し、彼の写真によって「MINAMATA」は世界中に知られることとなる。
団塊の世代やぼくたちは人体実験の実験台にされながら大きくなっていった。
映画『MINAMATA―ミナマター』公式サイト (longride.jp)
チッソは抗議活動を抑え込もうと弾圧を強め、ユージンも会社が雇った暴力団による暴行で重傷を負い、その後それがもとで亡くなる。
ユージンスミスは戦争末期の沖縄戦で従軍カメラマンとして凄惨な戦場を記録する。そしてその写真が評価され名声を得た。あのベレー帽をかぶった芸能戦場カメラマンも彼にあこがれて戦地を歩き回ったはずだ。
彼がカメラで切り取ったのは弱いもの、逃げ惑うもの、負傷したものたちで、当時の日本軍ではありえない、戦意高揚のためのものではなかった。
チッソの社長役は國村隼。彼は熊本出身だから思うことあって演じているに違いない。ことさらヒステリックになることのない冷静な演技を評価したい。
水俣病の我が子を抱く愛おしく慈しむ母のまなざしと重なり合う。
いま騒がれている福島の「汚染水」の海洋放出も、「処理した」と思っているだけの人類が経験したことのない未知の領域の汚染水であって薄めればなんとかなるだろうという浅はかな考えのもと行われている。
だったら、なぜあんなに敷地いっぱいタンクをこしらえて10年以上貯めておいたのか、岸田くん、東電の社長よ、安全というなら薄めた「処理水?」飲んでみろ。おいしそうにヒラメなんか食べずに。