衝撃が走るのは①「免税事業者本人」と②「仕入や経費の支払いで免税事業者とおつきあいのある業者さん」
衝撃度でいうと①「免税事業者本人」が強く影響を受ける度合いが高い。
制度の目的は「課税の公平」を図るため、これのみ。
いままでは公平ではなかったからだ。
いつかやちゃろうと財務省は腕組みしていた。コロナだろうがなんだろうがかまわんと強行した。
平成の制度導入以来売上が1千万超えない事業者はこれまで免税事業者として消費税の申告をしてこなかった。(1千万いかなくても還付してもらうためにあえて課税事業者になる例外あり)
申告納税をしない人でも売り上げに消費税を乗っけて請求して、きっちり入金してもらってきた。
その消費税分は「ごっつぁんです」だった。もらいっぱ、だった。
もちろん所得税の申告の際には「消費税込み」で売上を申告してきたからいくぶんそのぶんの税額は多くなっていた。
そして経費にはしっかり消費税がかかっているわけだからその分控除をしていないままでいた。車を買った年があったにもかかわらず。
いまプラカードもって反対しているのは、この「ごっつぁんです」がなくなると生きていけなくなる多くの人たちだ。
声優で年収300万程度の人たちがまっさきに反対を表明した。年間30万円の収入減になるからである。
売上900万円で90万円の「ごっつぁんです」をしてきた人にとっては月に実質7万5千円の減収になる。
これはおだやかでない。家賃くらいかもしれない。
年収300万円の人にとっての30万がどんだけ大きいかわかろう?
ただし、「ごっつぁんです」だったのだ。
消費税連鎖の原則から切り離されて「ままこ」扱いされてきた子をいっぱしの大人扱いにするというのが今回の改正だ。
だから、やっていることはまっとうな改正だ。
ただし、これまで免税事業者として消費税から特別扱いされてきた人たちの生活はこの「ごっつぁんです」のなかにあってようやく支えられてきた事実がある。
さて、こんどは②の「免税事業者とおつきあいのある業者」だが、免税事業者から仕入れてもいいけど、その分の控除ができないけどいいか?と迫っている。
つきあうなといっているに等しい。
貧乏人の娘と付き合うなと息子にいっているおとうさんが国である。
「金がかかったとしてもおれはこの娘じゃねえとだめなんだ」とおとうを説得することもあろう。
おとうは「すきにしろ、そんかし、金はださねえかんな」と背中を向ける。
個人タクシーのドライバーは高齢で年収は1千万はおろかその半分もいかない人たちばかりだ。
企業の接待などで使う個人タクシーの領収書にはもちろん事業者登録番号が入っていないのがほとんどだろう。
それを経理のお局さんのところに持っていく。
とにかく、今月から経理は細かい経費までいちいちチェックした上で入力せんといかん。
「経理部」にとって大迷惑なのだ。
番号の入ってない領収書は経費でおとさんかいね、と営業をおどす。
そして第一産業交通など法人のタクシーに乗るようになる。
ここでも個人零細事業者が社会からはじかれていく。
①には生活がかかる大問題、②は業界から個人タクシーの排除、そして「営業部」と「経理部」のバトルにつながる可能性がある。
もともと「消費税」にはもうけも損もない。
預かった消費税から支払った税金を引いた残りを国に支払う。
きわめてシンプルな制度であたりまえのこっちゃ。
「消費税」のしくみはフランス人が考えた。日本人では思いつかなかったろう。
YouTubeなどでいろんな議論を聴くが、コメンテーターでまっとうな理解をしているのは「ひろゆき」くらいかな。
あとは「ごっつぁんです」にふれずにヒステリックになっていて、そうとう「ずれた」議論に思える。
世間の反響の大きさにさしもの財務省も「納める消費税は2割でいいから」「8割控除はみとめるから」と特例を矢継ぎ早にだしてなだめすかすありさま(/ω\)