思えば年末から不穏な雰囲気がただよっていた。
それは放送事故からはじまった。
あの、紅白歌合戦のディズニー10周年メドレーで。
あろうことか橋本環奈と浜辺美波が「いつか王子様が」を歌ってしまったのだ。
かつて、篠田麻里子が歌ってしまってときのように。
突如、音程が半オクターブ上がったりさがったりで、王子様もひやひやだった。
迷走する紅白歌合戦を象徴するかのようなインパクトのあるものだった。
ネットでは「紅白史上最大級の放送事故」とざわついている。
さて、昨年は都心をあちこちうろつくことがなかった。これまであれほど猫のように散策してきたのに。
原因のひとつはもちろんコロナだけど、もうあとふたつ原因がある。
AMAZONでかいもんがらくちんに、しかも安くできるようになったこと。
アキバにいかなくてもおんなじくらいの値段で、しかも送料無料で届く。
もひとつの理由は「昼ご飯を食べなくなった」こと。
ラーメン、そば、かつどんなどのどんぶりもん、とんかつ、てんぷらなんかの店に入らなくなった。
ただ、考えてみればじつにもったいないことだ。
名店ひしめくアキバあたりの立ち食い蕎麦屋、あれほど通ったのに昨年は一度ものれんをくぐっていない。
せっかく東京で暮らしているのになんということだろう。
高齢化するにしたがって、おっくうになって歩き回ることをしなくなる。
古本屋巡りもしていない。
映画館にもいっていない。
年末のある日、池袋のシネマサンシャインで「ゴジラ」見ようとでかけた。
終戦後の東京で、破壊王のゴジラとB29キラーとなるはずだった戦闘機「震電」との戦いをみる、ただそれだけのために。
シネマサンシャインだからてっきりサンシャイン60のなかにあるはずと思い込み探したがみつからない。
もしやと我に返り、ネットで調べると場所が違う。高速道路をはさんだかなたにあった。
あわてて駆け込んだが、上映開始10分過ぎてチケットは発券できなかった。
どうせ、予告編をだらだら流しているだけだろうがよ!
でも、そのおかげで横浜の母校を久しぶりに探訪できた。ざまぁみやがれ!
サラリーマンの通勤は、あの定期券は、無駄ではなかった。
池袋、新宿、渋谷、品川、東京、どこでも気ままに降りれた。
階段を登ったり下りたりで足腰も丈夫になり、きれいなお姉さまとすれちがったり、いろんなおまけもあった。
でかけよう!
今年は、あの見どころとおまけ満載の都心を楽しもう。
仕事は夜明け前にやってしまって、パソコンの電源を切ろう。
そして、原点にかえって、大好きな春菊天とゲソ天をいただこう!
東京の立ち食い蕎麦はどす黒くてもほんとにうまい。
九州に行ったらどす黒くないうどんにすればいい。
どうしても東京の下町あたりになってしまうけれど、だからどうした!
もう災害はごめんだ。
よりによって元旦から、いや年末の深夜から、大災害に連日見舞われている。
もう、かんべんしてほしい。