寺田税理士事務所のもっともわかりやすい図をお借りする。
増税のイメージのある岸田くんはかんたんに、
物価上昇に対応するため一律の給付金ではなく、
所得税と住民税で定額減税をする、といった。
もちろん岸田が考えたわけじゃない。
一人あたりなんぼといったために「住民税」をまきこむことになった。
この一言によってまきこまれた市や区はたまったもんじゃなくなった。
国は全国民の税情報を扱っているわけじゃないから税金のたてつけ上市や区を巻き込むのはしゃーない、となった。
ごくふつーの会社員だけを例にとる。
非課税世帯への給付は年明けからすでにはじまっている。
制度の理解はこんなかんじでいいんだろうか。
ただし、
減税の対象となるのは所得税は令和6年分、住民税は令和5年分これが話をこじらせることになる。
1 サラリーマンの6月の給料から減税をスタートさせる。
ひとりあたり所得税3万、住民税1万。
確定申告を終え、市区町村が住民税のお知らせをするのが毎年6月だけど、さすがに住民税に反映させるのは無理だから7月から減税を実施する。
そこで6月分の住民税は「無し」となった。0円ではない。存在しなくなった。だから「ー」となる。
2 6月の給料や賞与から減税分をひいて納めてもらう。
6月にしたのは、賞与があって減税分をいちはやく実施して済ますことができるためで、ここで一気に所得税3万円をひいちまおうというわけだ。(住民税のぶんは7月から)
こどもの4人家族だとすると合わせて12万円+4万円だぞ、減税額は。
ところがよ、高給取りならともかくそんなに所得税をひかれてないサラリーマンがほとんどじゃね?
3 その後毎月、給料がでるたびに引けなかった分をひいとくれ。
住民税はご存じのとおり、所得税の確定申告が終わったあとに年間の税額がきまって12で割って一か月あたりなんぼ給料からひきなさい、と通知がくる。
今年の6月はそんなわけでシステムが間に合わんから、減税分を引いた残りを11で割って割り振ることになる。
前代未聞たい。
住民税は減税が加味された税額で7月から引かれ始め、5月まで続く。
4 12月の年末調整をしたとき、そして確定申告でなお減税分が引き切れない。(控除不足額)
源泉徴収票にの摘要欄には、
「源泉徴収時所得減税控除済額○○円、控除外額××円」と記入される。
年末に持ち越された減税の残り分。
ここまでは毎月減税が実施されることになる。
5 さて、それじゃこれからその令和6年分の「年末に持ち越された減税の残り分」はどうするん?
この制度が「減税」と「給付金」が合わせ技になっているため、さらにややこしくなる。
給与から減税分を控除できなかった分は給付金として支給されるリレー方式(こんな呼び方でいいんだろうか)
会社の経理担当も泣かされる。が市区町村の苦難はここからはじまる。
「定額減税しきれないと見込まれる方」への「給付金」(1万円単位)
定額減税補足給付金にはふたつあって、
まずは取り急ぎ「調整給付」
あとはわしにまかせろ、と腕まくり。
腕まくりしたはいいけど、その給付金の金額は
さきほどでいうと4人家族で所得税12万円、住民税4万円の例でいくと、
①所得税は12万円から、令和6年分の推計所得税額(減税前)を引いた残り
②住民税は4万円から、令和6年分の個人住民税額(減税前)を引いた残り
①+②とする。
減税の恩恵を受けてないぶんに相当する金額。
役所があんたの今年(令和6年分)の所得税額はたぶんこれくらいなんじゃない?と去年(令和5年分)のから推計して、だとするとたぶんこんくらい減税額が足りないよねと計算してくれて、
令和6年6月(今年)以降に市区町村から郵送であなたには
「調整給付金」が支給されますよという内容の申請書類が送られてくる。
令和6年がまだ終わってないのに、定額減税の対象となる人かもわからないのに年の途中に減税が実施される。6月から12月の所得は市区町村が推計して。「推計させて」!
ただし、令和6年中に扶養家族が増えた人や収入が減った人には令和6年分の年末調整や確定申告することによりはじめてわかることとなって、その不足分にかかる給付金が令和7年6月から支給される。
これを
「不足額給付」という最終調整。
減税を自分の所得税ではしきれなかった人は、給付金でもらえる、そういう仕組み
ところが、いっぽう区役所の所得税額の推計が外れて、
令和6年にえらく稼いでしまった人は定額減税を受けられない人だった。
そんなとき、減税の対象者でなくなった人は見込みでもらった「調整給付」金は返さんといかんの?
返さんでいいらしい、、、
個人事業者はどこで減税されるねん?
えっ!
令和7年3月の確定申告!
それまでは減税なし!給与からの源泉徴収はないし、令和6年の所得は確定申告でしかわからん。まるまる推計するわけにもいかん。
それに、減税対象外の給与2000万円以上の人でもいったんは6月の給与で3万円の減税分の控除をせんといかん。確かにいったんは減税しました、というポーズかな。どうせ確定申告をするしそこで納税してもらえばいい、と。
ご主人の扶養になれないおくさんも「同一生計」であればご主人の申告に含めて減税するんやと。
世帯をひっくるめてやっちまいたいんやな。
なるほど、区役所がかってに令和6年の所得税を推計して給付をきめてしまった給付金だからして、
「あんたに、あげーたぁ、給付金を~、いまさら返せとぉわぁ~いわぁ~なあいいぃ~わぁ~」♫
どれほど、みなさん理解していることやら。
基本的には年収が高額な物価高がへちゃらな人を除き、
1 源泉所得税での減税か、
2 源泉所得税での控除では全額収まり切れない人には給付金で支給し、
3 そもそも税金を納めてない非課税世帯と住民税のみ納税世帯には令和6年年明けすぐに給付金を支給する
そして令和6年の所得がベースになっているにもかかわらず取り急ぎサラリーマンには
4 令和6年6月の給与から減税をはじめて、すぐに減税しました、手取りが増えましたよ感を多くを占めるサラリーマン家族に実感させる(政治的な思惑か)
5 制度上生じた減税の不足分には年末調整や確定申告後所得金額が確定したのち令和7年6月から不足分を支給する
6 減税のもれは許さないが、給付金を支給しすぎたときは目をつむる(どうせそのぶん税金がふえるのだろうからということだろうか)
7 給与の源泉所得税のない個人事業者の減税は令和7年6月までおあずけ(ほんらいの減税の姿)
だったら、いっそのこと、
非課税世帯には給付金を手厚く支給し、
年収の2000万超の世帯にを除き、
サラリーマン家庭には会社の経理担当に毎月の所得税からちまちま引いたり年末調整に手間をかけさせたり、地方税の行政に推計をやらせたり過度な負担をかけずとも、最初から一人当たり4万円の給付金にすれば足りるんじゃね?
どっちみち減税がすんだ源泉所得税と給付金の合計額はかわらんのだし。
減税はいいが、愚策だと思える。