通っているジムのとなりにBOOK OFFがあっていい出物がないかちょくちょくのぞいている。
本日、うおっつとあわてふためく本がブックオフ価格からさらに半額になっているのをみつけてくいついた。
定価3,000円が希望小売価格?1,760円となり、さらにそれに黄色い50%OFFシールが貼られて、もってけドロボーの880円。
いつも不思議におもうのだけど、ほとんど新品で読んだ形跡がない「中古本」がよく並んでいる。
一説には倒産した書店から流れてきたもの、また「万引き」持ち込み本。
アイドルの写真集にはこの手の黒いものが多いという。
それはそれで新品状態で購入できるわけだから買い手にとって、また、買い取る側からしても「善意の第三者」にあたり、悪い話ではない。
「それが万引きされたものであることを知らずに買った」のだから保護される。
書店からの流れ者であるばあい、書店で廃棄されるよか大切に読んでもらえる人にであえることのほうがよほどいい。
最初に黒澤明の作品を映画館で見たのは20代半ばのときで、千石にあった三百人劇場でのオールナイト上映の特別企画だった。
「生きる」、「白痴」、「隠し峠の三悪人」だったような。「生きる」を見終わったあと、しばらく放心状態になってしまい、その後じわじわと「おれも生きよう、志村喬のように!」という熱い思いが湧いてきたのだった。
しばらくするとあの思いはどこへやら、なにごともなかたように毎日ビール飲みながら「おれたちひょうきん族」なんかのTV番組であほ笑いの毎日で、その後もはや血が逆流することも志村喬になることもなくお役所仕事にあけくれるしまつ。
さて、BOOK OFFにはもう1冊目をかけている娘がいる。
もちろん、平井呈一訳の作品はすでに持っていてなんども読み返している。
でも、ほしい。文庫本じゃなく、単行本の紙のぜいたくな手触り感、フォントの違い、、、
定価は7千円くらいする。
ブックオフスタート価格でなぜか1,750円。
それが、棚にそのまま半年くらい売れずに残っている。
この子には女性の研究者のものと思われるたくさんの傍線と鉛筆での書き込みがある。
感想や意見の。
手放した女性の注いだ情熱みたいなもの、八雲とともに過ごした時間、格闘した足跡みたいなものを感じ取ることができる。
そのせいでスタート価格が通常定価の半額3,500円のところ1,750円になっている。
なんというせこさ。
あまえだったら買えるんだろ?たかだか1,750円やろ、買っちまえという声が聞こえる。
でもなぁ、あの子に半額シールが貼られるその日を待ちわびる。
なんとなく閉店前のスーパーの刺身の盛り合わせ半額シールに似ている。
半額どころか330円になるのを待っている。
ぼくが大物になれなかった理由はこんなところにあるのかもしれない。
半額シールの男として生きてきたのかもしれない。
ただ、よその見ず知らずの八雲のことをろくにわかりもせん親父が何を血迷ったか買ってしまったらどうする気だ。
しょせん八雲のありがたみもわからんし、買う人もおらんだろうと練馬高野台の住民をなめてないか?
怪談物はほとんど読まないが、怪談物につられて買っちまう可能性もある。
しょせん八雲のありがたみもわからんし、買う人もおらんだろうと練馬高野台の住民をなめてないか?
ただつられてかっちまう人が1,750円もだすか?
こたえはノーだ!
Amazon見てみ?
一期一会のBOOK OFF練馬高野台店
9,800円より。
そんな、悠長なことをいってていいんかい?