中学の同窓会のまえに、若松にある「JA河童の里」で新米を精米してもらう。
福岡県産の「夢つくし」や「元気つくし」はおにぎりにするとおいしさがいちばん引き立つ。
さらに、もっともこのコメのおいしさがきわだつのはうっすら塩味の「グリーンピースごはん」で季節には毎日のようにしみじみうっとりしながらいただいたものだ。
20キロずつ、40キロを精米してもらい車に積む。
東京まで持ち帰るなんてへんな人かもしれない。
いいお正月に向けてほっこりした気分になる。
ジャパネットの豪華冷凍「おせち」もよさげだけど、食べたいものがほとんどない。おそらく半分以上は残すことになろう。
同窓会の翌日は黒崎の「エビスや昼夜食堂」で先輩と久しぶりに飲み交わす。
夕方5時はおろか4時スタートでもなく、ほかのお客さんの迷惑にならないようにランチタイムを外し、2時に乾杯する。
おめあては、やりいかの天ぷら。
ただ、これを、これだけをめざしてやってきた。
先輩とは毎日のようにラインしているし、近況報告など不要なはずが、同業者でもあり、話はつきない。女子高生かいっ!
東京では北海道や三陸の「真いか」がほとんどで「やりいか」にしろ「あおりいか」のてんぷらだの塩焼きだのはまずお目にかからない。
当地はつくづく恵まれていると思う。
先輩は毎週のように通っている。
ホワイトボードのおすすめには「のどぐろ」の干物があった。
かわいいやつで一枚780円だった。
もう、この機会を逃すと当分のあいだお目にかかれない。
帰ったら、スーパーのしょうもない、すかすかぼそぼそのあじのひらきくらいしかない。
のどぐろのおいしさは上品な、さっぱりとした、すっきりとした油で
ふわふわの白身にからんでじわーっと、くちのなかに広がる。
のどぐろは山陰地方の日本海が主産地で、あまだいとともに高級魚。
北九州には響灘や玄界灘だけじゃなく長門の日本海からも魚が入荷する。
そして「ごまヒラス」
少年時代を過ごした黒崎の町。
そして定年前に単身赴任した当地での4年間の思い出が混ざり合う。