高校の時、この角川ソフィア文庫をテキストにしてくれたらどんなに楽しく学べたことだろう。
能にしても歌舞伎にしても時代背景や物語のあらすじをおさえて、事前に知っておかないとじっくり鑑賞できない。
それはいいすぎで、できれば知っておくとより楽しめる。
上演中に席ですやすや寝ている上品なおばさまは平家物語なんかのそのあたりの章をあらかじめ読んできてからきているのだろうか。
このソフィア文庫日本の古典シリーズはこうした能・歌舞伎のビギナーズのために編纂されたものだろう。現代語訳との対比と解説が秀逸でほんと助かる。
「想夫恋」を平家物語の「仲国(なかくに)、想夫恋を奏でる小督(こごう)を嵯峨に発見」の章で見つけた。
小督は絶世の美女で琴の名手だった。
その「琴」は「筝」のことで、夫である帝を想い想夫恋を奏でているだろうと琴の音をたよりに仲国は馬を走らせる。
夫であるだんなさんのことを想いながらの「やきそば」ではない。
筝曲。
もやしとくず肉だけの焼きそばのソースの香りをたよりにおばちゃんをさがしたわけではない。
九州だけかと思っていたら東京にも進出している。
「資さん」うどんが大阪に続いて東京にも進出。
北九州人としては喜ばしいことではあるけれど、心配が先に立つ。
ガストなんかと一緒になって、あの味とメニュー、なんかがかわっていくのではないか、と。
ありきたりのどこでもある店にならないでほしい。
「ぼたもち」はどうでもいいけど「貝汁」やおでんの「牛すじ」をなくすのではないか。
「イオン」にならないでほしい。
北九州にある「資さん」の客筋は多くが作業着姿の工員さんや工場関連のひとたちで創業の地が戸畑(製鉄所)であることからしても味付けは甘じょっぱい。
行儀の悪いジャージ姿のヤンキーたちにも愛され、とくにすごみのあるヤンキーネキもよく見かける。
北九州空港の近くの「資さん」に初めてはいったかあちゃんは、
「ジャガー横田」や「アジャコング」「ダンプ松本」ふうのそのままリングに上がれるヤンキーネキたちが勢ぞろいしていて目を丸くしていた。
そんな北九州で愛された「資さん」を「ガスト」にしてはいけない。