
749ページの大著。
宝島社は芸能界の裏側、スキャンダル、やくざの世界、ひとことでいえば「やばい」世界好きにはたまらん出版社で人前では大きな声で語れない作品が多い、というかほぼ大半が「やばい」。
裏社会ドキュメンタリーを社是にしてるんだと思う。だからこそ迫真の読めばやけどするような記事に会える。
東映やくざ映画を愛するファンにとっては安藤昇はそのダンディーさそのすごみが抜きんでいている。
安藤組の組長であって役者でないから、俳優でないからだ。
台湾やくざとの抗争で受けた顔の刀傷は何にもましてその戦後の壮絶な戦いを生きてきたあかしだ。
その傷はどんな刺青よりそのやくざとしての矜持がうかがえる勲章。
高倉健との共演作は当時のやくざ映画の最高潮の時期と重なる。
ぴりぴり、ひりひり、まばたきもできなかった。
著者の大下英治さんもこれまた芸能界のドキュメンタリーの名手で、この人の作品ならページをめくることもなくかごに入れる。
ずっと、「吾妻鑑」を読んでいた。
ほんとかうそかわからん平安末期から鎌倉幕府にいたる中世の戦記物で小田原、湯河原、富士川、いろんな戦いのいきさつがわりと詳細に描かれている。
なにも知らんと湯河原を通り過ぎていたけど、「土肥」さんの所領で頼朝くんの恩人だった。
ただ、一例をあげれば「武蔵の国に入った時点で頼朝軍は三万余騎とあり、その後秩父平氏一族が合流し、その後二十万騎となった」とあるがほんまかいな的な記録に、首をひねることもたびたび。

源平の時代の読み物で苦労させられるのは登場人物が「平」「源」姓ばかりなことで、これにはおうじょうしまっせ。
たとえば「平家」では
平清盛のおとうの、「忠盛」
息子の「重盛」「宗盛」「知盛」「重衝」ブラザース、
そこまではしゃーないとして、
平清盛の兄弟、
弟A「経盛」、弟B「教盛」、
とどめは弟Bの子たち、つまり清盛の甥っ子3兄弟の
「通盛」、「業盛」、
とめどない「盛」の波状攻撃にはまいる。
ところがこの「なんちゃら盛」それぞれが諸方の戦闘に活躍するよって、無視できない。
一族郎党とその一族に恩義をもつ豪族(戦闘集団)が入り乱れて戦っていた。
「大盛」「特盛」「ちょい盛」と吉野家の牛丼が食べたくなる始末で、こりゃたまらんと
口直しに安藤昇さんにご登場つかまつったというわけだった。
かの赤塚不二夫さんは「平家物語からおそ松くんの着想を得た」といっておられた(嘘)(‘◇’)ゞ
下関ではいまでも「平家」を奉ずる住民がいる。
彦島を拠点にしていた源氏を凌ぐ水軍に戦いを託したが破れ、その奥方たちは断崖より身を投げている。