やりいか、ただこれだけを求めてやってきた 2025/7/2

ぼくのミシュラン5つ星の食堂が八幡西区黒崎にあって、旅にやってくる目的の半分くらいを占める要因で、残りは「おまけ」だから、この「えびすや食堂」が定休日だったり、不幸にも店休日にあたってしまうと絶望を味わうことになる。

今年の4月に先輩と待ち合わせ、この店に来た時、まさかの臨時の店休日だった。

先輩は「にやにや」笑っていた。週一で通っている先輩はいつでもこれる。そのへらへらした様子に殺意を覚えた。

今回、夜の部は予約している店があるため、訪れるならお昼。


目的がこれほど明確な行動はない。

11時の開店とともに入店し、この本日の黒板をみて確かめる。

「ヤリイカ姿焼」(福岡)!

あった!

デフォルトが姿焼きだから「さしみ+100」とは刺し身にするとプラス100円、同様に天ぷらは150円プラス。

さしみと天ぷらどちらもいただきたい人はそれぞれ半分にして追加は250円となる。

もちろんせっかくだからお手間をかけるがお願いする。


とびきり新鮮で甘く、もっちりした刺し身。ヤリイカは王様、アオリイカは女王。

肉厚な「するめいか」や「まいか」にもじゅうぶんすぎる言い分はあろう。

縁日の屋台のイカ焼きをりっぱに支えてきた自負もある。

油断するとうっすら目に涙がたまる。

東京でのイカに涙したことなどない。

今後はうっすら目に涙がたまることのないように、9月と12月にもこの食堂にやってくる予定だ。

しみじみ、しみじみしているとき、ほどなく天ぷらが手渡される。


天つゆにくぐらすのがもったいない。

食べるのさえもったいないくらいだ。

噛むとすーっと、鋭利なナイフで切ったようにふわっと身が千切れる。

冷蔵ケースのなかまたちがこっちをようすをうかがっている。

「ありがたみのわかるおまえさんよ、しっかり味わってくれ」といっている。

ほかにもアジフライだの捨てがたい品もあるのだけれど、これだけにして店をでる。

かつては賑わった商店街も平日とはいえこの人通り。

食堂のあるビルもこのとおり、テナント募集中

「ヱビスや食堂が」いつまでもありますように。

作成者: user

還暦を迎えてますます円熟味を増す、気ままわがまま、ききわけのないおやじ

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