
「青い壺」で出てくる壺は「経管」(きょうかん)といわれる青磁器でもともと経典を保管するものであったようだ。なるほど活け花にはやっかいな形状をしている。
第四話で、
「黙ってるけど、あの子はきっと頭がいい子だと思いますよ。」、
「娘には父親の遺伝子が濃いというからな。」(娘婿は東大生)
という女の子の孫について、老夫婦が話すくだりがある。
ほかのおばか作家ならば読み飛ばすところだけど、なにしろ有吉佐和子さんのことだ。
素通りできない。
お茶の水女子大学名誉教授
榊原洋一先生によると、
『遺伝子情報は「染色体」というものにのっています。染色体は基本的に同じ形のものが2本ずつ、計23組あるんですね。
そのうち、22組目までの遺伝子情報は男の子であった場合も、女の子であった場合もまったく同じ。男女に分かれるのは、最後の23組目の染色体によって変わるんです。
23組目の染色体は「性染色体」とも呼ばれていて、生殖器をつくるのに必要な遺伝子情報がのっています。
だからこの部分の染色体の組み合わせによって、子どもが女の子になるのか、男の子になるのかが決まるんです。』
ふむふむ。
そして、
『23組目の染色体は、ママとパパから1本ずつ染色体を受け継ぎます。ママの染色体は「XX」、つまりX染色体を2本を持っています。だから子どもにあげられる1本は、いずれにせよXになりますよね。
一方、パパは「XY」、XとYを1本ずつ持っているんですね。だから、あげる染色体がXになる場合もあるし、Yになる場合もあります。
23組目の染色体の組み合わせが、
ママからX、パパからもXをもらって「XX」になったときは女の子として生まれてきます。
一方、ママからX、パパからYをもらって「XY」になった場合は男の子として生まれてくるんです。』
『男の子の場合、Xはママから、パパからはYをもらっていますよね。でもY染色体には生殖器をつくる遺伝子情報しかないので、
体の機能や構造、顔つき、性格などの情報はX染色体の情報、つまり母親からの遺伝子だけになります。
女の子の場合、Xはママから、パパからもパパの染色体情報をもったXをもらう。
つまり、パパの「体の機能や構造、顔つき、性格などの情報」を受け継ぐ可能性がある、ちゅうこっちゃ。