無口でひたむきで、朴訥で、洞海湾の似合う男。
男気があること、男らしさがいちばん大事にされ、尊ばれた時代を描く映画に輝きを添えた稀有な唯一無二の名優。
女性にはぶっきらぼうで、不器用であるけれど、暖かいまなざしを向けていた。
特別展では、数々の出演映画のシーンが時代別に映し出される動画中心の展示方法がとられ、画面のなかで躍動する健さんの姿にこころを重ねることができる。こんな俳優と、いや、こんな方と出会えたこと、同時代を過ごせたことを嬉しく思う。
まして、北九州、八幡の本城小学校の私の先輩と思うと、なおのこと誇らしく、平日なのに混み合っていた会場にファンの方々が熱い視線を向けられていたことに胸が熱くなった。
今回のイベントを記念して編集されたアルバムもすばらしい仕上がりで、宝物となりそう。
「沈黙」のスコセッシ監督も健さんへの思いをアルバムのなかで「高倉はハンフリー・ボガード、ジャン・ギャバン、マルチェロ・マストロヤンニ、そして三船敏郎のように、カメラに対して自身の存在感を純化できる真の映画人なのです。」と寄せている。