ネットラジオにはまっている。「リスラジ」というサイトから。日本全国北海道から沖縄石垣島まで全国の地域放送局がずらり。なかでも「湘南ビーチFM」は上位にランキングされているだけあって特に音楽の選曲のセンスが光る。音楽が主体でおしゃべりは音楽の邪魔にならない程度に抑えて添えられている。心地よい。作業しながらでも本をよみながらでも邪魔にならない。既存のラジオ局にはもう辟易している。もうラジオを買う、という選択肢はない。くだらないうるさいだけのおしゃべりはもうたくさんだ。
朝目覚めるとすぐにスピーカーの電源を入れる。i-PhoneからBlueTooth接続で番組を流す。ごきげんなここちよいおめざとなる。お茶をいれ、本日の「TO DO」リストを作る。
放送局の宿命であるコマーシャルも葉山逗子地区一色で、スポンサーは地ビールや地元の魚屋などで完全地域密着。きょうあがった魚をおすすめする魚屋のおやじのだみ声や、脱サラしてはじめた感のある自家製スモークソーセージのやさしそうなマスターの素人っぽい声が風に乗ってやってくる。ピンポイントの小さな局地ラジオ局ゆえ女性アナはよく言葉に詰まり、よくかみかみする。また、噛みそうだと心配しているとしっかり噛む。だけどそれは愛嬌。言葉に詰まるようじゃラジオ局は終わりね、とはいわない。
北九州で無心に聴いていると、湘南に住んでいるかのような錯覚を覚えた。19歳の1年間横浜の南端、金沢八景にあった大学に通うため追浜という横須賀の北の端に住んでいたときのことを思い出しながら。バスで山越えをすると鎌倉に、京浜急行で逗子葉山はすぐそこ。北鎌倉をしっとりカップルで歩いていようものならすぐにバレた。青空のひろがる地元の人々はあきれるほどからっとしており、眉間にしわをよせていたのはおやじ、いや青年時代のおやじくらいなものだった。
米子には「ダラズFM」というラジオ局もある。ダラズとは「ばか・あほ」のことだ。石垣島からの番組は琉球民謡で哀愁をおびた三線の音色とともにやさしいおだやかな潮風を運んでくれる。「FMいしがきさんさんラジオ」「FⅯくめじま」「FMよなばる」「FMとよみ」「FMぎのわん」、、、音楽が島中に息づいている沖縄にはたくさんの放送局があるようだ。「FMかわさき」はアイドル全盛の日本のポップスてんこもりと個性的。
かつてFM放送局の番組は高音質の音楽中心で各放送局ともただただ選曲を競って流し、雑音交じりでうるさいだけのAM放送局にうんざりしていたリスナーの心をつかんでいた。FMも民放TV同様「うるさく笑い騒ぐだけの」番組に占領されいつしか聞かなくなった。(山下達郎の番組は別)
いま、その地位をそのままネットラジオが継承しているのではないか。私たちは何を選択するか、で生きている。
2018.7.9