枡野俊明「禅 シンプル生活のすすめ」

横浜にある曹洞宗「建功寺」の住職枡野さんの禅の教えを説いた本がどこの書店にも並べられている。キーワードは「美しい所作」「シンプルに生きる」「片付け」などで要するに「よけいなものをもたない、いらんことを考えん」「こころ穏やかに立ち居振る舞いを整え暮らす」ことをすすめておられる。講演活動も各地で精力的にこなされ、日本庭園の造園でも世界的に著名な枡野さんと以前お会いしお話しさせていただく機会があった。禅師のイメージの「枯れている」「枯淡」の人ではなく血色の良いつやつやのお顔、ことばもはきはき、頭もてかてか、ぴかぴか、「しゅんみょう」さんの名の通り「明るく」動作も「俊敏」だった。いまこそ現代人に必要なのは禅のこころであると国内外を東奔西走しておられる。昭和28年生まれの先輩である。


おやじはついこないだ「人生とは選択である」、「日々目の前の何を選択して生きるのかで人生は決まるのだ」と述べた。けだし名言であると自負しておる。

 

枡野さんに習って来月迎える62歳を期して「生まれ変わる」ことにする。まずは身の回りにあふれる余計なものを処分することから始めよう。もう忙しいから、とかの言い訳は許さない。自分の部屋の中を見渡しチェックする。

まず目についたのは自作PC用のマザーボードや戦闘機のプラモデルの空箱。一見不要と思われるこれら場所ばっかとる空き箱には中はからっぽだけど実は思いが詰まっている。配線を間違えた思い出、火花が散ったときのこと。P,H,Zと進化を遂げてきたマザーボードの歴史を語る遺産である。河豚の料理店でさばいた河豚の尾びれを板前が壁に貼り付ける感覚に似ている。プラモデルの箱はこうして積み上げることで子供のころ夢見たプラモデル屋さんの店内を再現することができる。幼い頃の残像がよみがえる。組み立て塗装はアキバオタクの後輩に外注をしており、ぶつの受け渡しはアキバのガード下のお寿司屋「銀蔵」で行われ、飲み代がそのまま外注費の支払いにあてられる。いい大人がプラモを手に談笑している姿はまわりから見れば滑稽でさえあるがアキバではとりたてて奇異に映ることはない。(と思っている)捨てられるわけがない。つぎ。


練馬基地はたぼー飛行場に集結する数十機の日本陸海軍の戦闘機雷撃機爆撃機と鹵獲した米軍機の数々。駐機できない機体が多数あり飛行場の拡張を国土交通省航空局に申請中。いつまた空襲があるやもしれずこれも処分するなどもってのほかである。つぎ!


妖怪「百鬼夜行」シリーズ、これはいったん片付けていたものをあらためてまた展示することにしたもの。大英博物館のように展示品の入れ替えを行う。かにえび甲殻類ミュージアム、おさかなシリーズ、大和「沖縄特攻作戦時」、これを処分?これがあるからこそ「こころ晴れ晴れと軽くおだやかに」生きることができていることを理解願いたい。


かくして62歳からの身軽な生活に暗雲がたれ込める。こんなぐあいに自分のスタイルをかえようとしない、変化しようとしない、頑固おやじにとっての「選択」とは頑迷にいまの生活を変えようとしない選択なのであってつまるところ意味をなさないお題目ということになりますね。2018.7

作成者: user

還暦を迎えてますます円熟味を増す、気ままわがまま、ききわけのないおやじ

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