殺処分される運命の猫たち、飼えなくなった猫たちを引き取り育て,というかシェルターに保護して里親候補とこここで面会する。
JR山の手線大塚駅から2分ほどのビルの5階、エレベーターのドアが開くと
猫グッズまみれ。受付でこのシェルターの決まり事などの説明を受ける。
えさ代などにあてるため寄付を募っている。1000円を寄付箱にいれる。
ペットショップと決定的に違うのは「売るため」ではなく「保護している猫を引き取って大切に育ててもらうため」なこと。だから「かわいさ」を売り物にしない。「かわいい」のだけを「展示」したりしない。ここにやってくる人たちはこのNPOの活動に理解のある人たちで「こころざし」をもってやってくるのだと思う。
生後間もない猫から貫禄のある猫まで見たところ赤ちゃんから年金受給者くらいまでの年齢層がいっしょに暮している。
まだちっちゃかったり、予防注射してない、不妊手術をしていないなどでここに連れてこれない子たちがほかにも多数在籍しているとのこと。
ホテルのラウンジ風の開放スペースとケージ部屋がふたつ、もうひとつ柵で囲った小部屋がある。
やんちゃな子猫はケージで、貫禄のある猫たちはフリースペースで放し飼いされている。
なぜ、猫なのか。東京では「野良犬がいなくなった」からという。たしかに野良犬は、ハエや蚊と同様みかけなくなった。
スタッフはみな若い女性でシェアハウスに住みながら猫たちのお世話をしている。猫も「かわいい」が、このスタッフたちも違う意味で「かわいい」と思った。
「名前はつけていないけどあだ名みたいなのはつけている」ということだった。名前は飼い主がつけるもの、里親がつけるものだからだ。
「この子は撫でられるのが好き」とか教えてくれる。ただ、「撫でられるのが好きではない子」もいて猫好きであるおやじに牙をむく子もいるので油断がならない。
いたずら盛りのこの子はすぐにもらわれていくのだろう。
いっぽうこの子たちはもうすでに自分の置かれた境遇に達観している様子で「どうせわしたちには里親は関係ないけんね」とここでの悠々自適の生活を決め込んでいる。
「こうなった以上もうここの長老として暮らすことにした」といっていた。
「サービス付き高齢者住宅」(サ高住)の猫版ともいえ、「人間関係の悩みはあるがお世話を猫好きの若い女性がしてくれるとあっては不平不満のいえるわけがない」と感謝している様子だった。
あられもない姿でくつろぐ。
一点を見つめ物思いにふける哲学者ふうの子もいる。
ーどうした、何を考えてる?ときくと、
「亡くなった飼い主のことを思いだしてるんだよ。やさしくなでてくれていた。」
ーおまえもここでずっといるつもりか?
「わしもみてのとおりいい年だしほかにいくところがないからね、でもみんなによくしてもらっている」
「ソフトバンクのCMにでている奴もいるそうだが俺には縁がない話だ」
二重になっている扉があくのを狙っているふしがあるもふもふくん。
NPO法人のなかでも成功している「事業モデル」(「ビジネスモデル」ではない)だと思っていることを伝え、猫グッズの寄付を申しでたら「助かります」と即答だった。
別れぎわに「山手線の内側、大塚駅から徒歩2分、空調もしっかりのこの部屋で住むなんてなかなかできることじゃないよおまえさんたち、わかってっか」と言い残し東京キャットガーディアンを後にした。
2019.6.6