63歳のお誕生日の今日。虎ノ門での一日がかりの研修を受講するためにひさかたぶりの、ずっとご無沙汰の朝の満員電車というやつに乗った。
時間もがあるしすいている各駅停車でいけばいいものを快速電車に飛び乗った。
なにか様子が違う。暑い。車内はどよーんとぼわーんとむわーっとした空気でエアコンが力なく風だけ送っている。
ぼくはほぼドアの真ん中のつかまるとこのないとこに濁流に流されるままに押し込められた。初期対応を誤り、ポジションどりに失敗した。
現役の時なら気合が入っているからそれがどうした、だった。
しかし、満員電車通勤からもうずっと前に解放され、車通勤、さらに満員とは無縁の北九州などという暮らしやすいとこで晩年を過ごしたもんだから、抵抗力が落ちてすぐにいろんなことでダメージをうける体になってしまった。
ぼくのまわりは図ったようにオヤジばっか。おやじ四方固め。昔からの習性で満員電車の中で女性がくっつきそうになると背中を向けることにしている。
まだ、人間としての良心が残っている。
今朝もひとりだけ年齢不詳の女性がおり、本能的に背中をむけた。世の中には本能的に女性に近づこうとするいけないやつがいるようだが。
すると、どうだろう、きれいに50坂、おやじ坂48のメンバーにおしくらまんじゅう状態で囲まれた。
白石寅蔵、生駒鉄之助、指原林太郎、、、
あの、ねっとりした肌、ぼさぼさで脂っぽい髪の毛やバーコード、うす汚ないワイシャツ、まだ夢をみているようなてかって寝ぼけた顔、、、、
冷房は故障しているかあるいは寝ぼけた西武池袋線の車掌が送風にしてしまったか、故意によるいじめか、わからないが車内は30度はゆうに超えているだろう。不快指数1500くらいで汗がたら〜っとにじむ。
なにも、誕生日のこの日にこんな目に会わなくてもいいだろうに、ぼくがなにをしたというのだ。
思えば、8月28日の誕生日なんて、嬉しくもなんともなかった。幼いころから誕生日どころじゃなかった。鬱屈して悶々として夏休みの宿題をしていた。そして、だれでも、100人中100人、日本中の小中学生は夏休みのあそびほーけたつけを払うようにしてお通夜か喪中のようにどうしようもない思いで苦しく過ごしていた。そんなときにぼっくんのために誕生日会をやろうというよゆうのあるやつなど皆無だった。
ぼくは「おやじの中心でおやじばかやろーと叫びたくなった」
電車を降りてみてみると、おいらたちの乗っていた車両のガラスだけが曇っていて、ほかの車両のは無色透明で涼しかった。
世の中のおやじの大半は基本的に仕事に燃えているわけでもないのに体がカイロのように熱い。だからおやじはホカロンのように使い捨てられる。
女性はよけいな?下着を着ている、つけている?けれどうまくしたものでその分寒がりにできているようだ。
体がくっついていいときはくっついていいしかるべき理由があるときに、双方の合意のもとに粛々と進められなくてはならない。
本人の意思に関係なく、いやだと言っているのに誕生日というときをわきまえず、かってにくっついてきて、おやじは逃げ場もなく包囲され、吐息をかけられ、肌を押し付けられ、じっとりした汗をこすりつけられたりする。
早く池袋についてくれ、ホームにすべりこんでくれ、ドアを開けてくれ、と祈る。
ぼくの不快感が頂点に達したこころ、隣のくっつきすぎのおやじはスマホをいじっている!東京はおかしい!
その中心で叫んでいるおやじこそ、電車が揺れるたびに足下がふらついておやじ48に寄っかかり、けもの臭、加齢臭、歯周病臭、死臭を撒き散らしているのではないか。
もう、やってやれない!建て替えなんてやめて八ヶ岳に引っ越す!