仕事納めー武蔵小杉「中原市民センター」2021/12/25

Xmasに仕事納めとなった。高齢者相手にはじめてZOOM講習の講師をすることになった。

川崎市のスタッフを「いい男にうつさんとゆるさんぞ」と恫喝した。「SONYのいいビデオです」という。それじゃへんな顔がより鮮明にくっきり映るだけやん!


これまではZOOM講習は受講するばかりで、ラフな格好でお茶を飲みながらお気楽なもんだった。講師からは見えないところでこっそりのぞき見しているような。


「2時間しゃべる」というのはとてもとても無理だと思っていたのが、講習の回数を重ねるうちにまとまった話をするのには1時間ではとうてい足りず2時間があたりまえになり、いまではついに2時間でどうおさめるかに関心は移っている。

ぴったり時間内に講習を終えるためにページごとにあらかじめ終了予定時刻を分刻みで書き込んでおき、ペース調整しながら進め時間通りに説明を終了したときのやった感はすがすがしい。


2時間の講習をするためにはその何倍もの準備時間が必要でとくにパワーポイントは自作だから見栄えをよくするためのやりなおしを繰り返すから報酬を何倍にしてもらわないと割に合わない。

だけれど、その準備のために調べる作業が自分に引き出しの数を増やし厚みをもたせてくれるため採算はまったく度外視することにしている。しかも報酬は「公金」からまかなわれる。


今日はXmas。隣のタワマンのなかの巨大商業施設「グラン・ツリー」は子供連れで少子化はどこの話と思わせるくらいとても賑わっている。

ハイソな街らしくみなさんおしゃれに着飾っていかにもしあわせそう。東横線のママたちは着こなしがやはり違うなと思いながら。

帽子がおしゃれでよく似合う女性が多いのが西武池袋線沿線ともっともちがうところで着こなすというかかぶりこなしている。帽子は高いんだろうな。おしゃれは最後に帽子にいきつくような気がする。

代官山で降りる若い子たちもモデルと見まごうばかりで変態のように口をあけて眺める。


先日夜、妻の勤める事務所に6歳くらいの女の子を連れたおかあさんが電話を貸してもらえませんかとかけこんできたという。

近くにある練馬区の母子寮に電話をかけないと寮に入れないからと。

事情を聴くと、わけあって鹿児島から娘を連れて施設にやってきたのだという。


わけとはなんだろう。離婚、DVなどだろうか。


むかし職場の同じ部門にいた女の子が職場結婚した。

ハワイで結婚式をあげた。ウエディングドレス姿の年賀状がまぶしかった。

わたしたちの職場はフロア中を見渡せるようになっており、私たちのデスクから20メートルほど先に新郎の「彼」のこっちをむいたすがたが見える。

「彼」も女の子の様子が気になるのかいつもこちらをちらちら見ていた。


ある日の朝、その子が片目を腫らして出勤してきたことがあった。パンダのように片目の周りが黒くクマになっている。

心配した上司がわけを尋ねると、「東武東上線の池袋駅の改札に向かう階段で転んでしまった」という。


上司や同僚たちはそんなうそを信じるはずがない。

殴られた、と直感した。

見え透いた嘘をつくしかなかった24歳の女の子が不憫でならなかった。


彼女はまもなく離婚し、退職後公認会計士の資格を取って大手の監査法人に転職した。

退職後に池袋で会ったときにそのときのことを話してくれた。


「彼は自分が若手の男性職員とたのしく話をしているのが許せなかった」と。

その若手の男性職員は気さくで明るく女性たちからだけでなく上司同僚に人気があった。

DVは縁のないことかと思っていたけれど身近にもあるんだとぼんやり思った。嫉妬が怒りや暴力に転化する恐ろしさに身震いした。

般若のお面は「嫉妬に狂う高貴な身分の女性」をあらわしてると能楽師から直接聞いたことがある。

「高貴な身分の女性」がキモだ。「嫉妬に狂ってはならない」女性に燃えさかる嫉妬の内なる表情。


母子寮のあの母と娘はどうしているのだろうと、ケーキを食べたろうかとクリスマスの豊かで幸せそうな武蔵小杉の街を歩きながら思い浮かべた。

あたたかく過ごしていることを願いながら。

作成者: user

還暦を迎えてますます円熟味を増す、気ままわがまま、ききわけのないおやじ

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