自営業者になっておもったこと。
自分は人を使用人として雇ったり、人に使われることは苦手であること、いやだと思っているということ。
大きな組織の一員として定年まで勤めたけれど、結果として飛び出すことなく勤めてきたのではあるけれど、どこか違和感を抱きつつ、組織の掟に縛られ無理をしながらやってきたと思える。
まずなにより通勤にかぎらず、雇われることは無駄な時間が多かった。
部下として働き、年月を経て立場が入れ替わり上司として振る舞うことを全面的に受け入れられていなかった。
多かれ少なかれみなさんそうであるだろう。
毎年人事異動で3分の1が入れ替わり、さらに毎年大量の定年者、新卒が交錯する職場はさまざまな出会いがあってエキサイティングだったし、東京中の各地でスリリングな仕事ができたことは財産になっている。
これが中小企業にかぎらず大企業であっても小さな箱の中で、密閉空間のなかで、仕事していたらこんなわくわくすることはなかったろうし、職場につねに水が流れていたため退屈したことは一度もなかった。
ただ、しみじみわかったのは自分の広げた手の中で、目の届く範囲内で自分の手でできる仕事をしていたいということで、ゆくゆくは事業を拡大したいとか、会社にしたいとかまったく望んでいない。
さんざん人に命令をしたり、高圧的な態度をとったりえらそーにしてきたけどそれは本意ではなかった。
借金もしたくない。
銀行とできるだけかかわりたくないから大きな仕事はできないだろう。
だから、これから身の回りの小さな仕事を淡々とこなしていくことになりそうだ。
ぼくのスケールはそんなものだけれど、でも、それが心地いい。
小さな仕事であってもお客さんにとっては我が身をあずける仕事であって、信用と信頼が命で説明責任を果たすことの大切さをいつも心にしまって向きあおう。
えばりたくもないし、えばられたくもない。
卑屈になることも、尊大になることもしない。
相手を値踏みして見下すこともへつらうこともしない。
自分のことは背伸びも、ことさら卑下することもしない。
これが数日前に空手の道場のような看板を掲げた事務所の戒め。
大学受験でもこんなに机に向かったことのない年だった。
いままで数十年間逃げて、避けてきたことに立ち向かっていったと思っている。
ことしはコロナで翻弄されたけれど、世の中の混乱をよそにいいお客さんに恵まれ、大幅な収益増につながったことを2021年に感謝して。
2021/12/30