中国との交易ルートを求めて鎖国をしていた江戸幕府を恫喝するためにやってきた。
未開の国日本をさげすみ、蒸気船と大砲で威嚇して開国を迫る。
そういえば彼は日本人がわれわれと同じ人間であるとはまだわかっていない、とまでいっていた。
この優秀な通訳はペリーの高圧的で傲慢な態度をそれはそれとして、客観的に淡々と上陸した幕末日本の様子や交渉の進展を冷静に綴っている。
特に興味深いのは交渉の舞台となった下田の町での出来事や、密航を企てていた吉田松陰とのやりとり。
炎の男、松陰は表現の限りを尽くして、ペリーにアメリカ行きを望みその旨を訴え、懇願する。
彼の強烈でひたむきな性格が彼に託した文書にあらわれているが、これはある意味テロリストに共通するものかもしれない。
それを盗賊の一味であるとか、幕府のまわしものであるとか疑念をもたれ、夢はかなわなかった。
そして、中国の市場争奪をめぐる争いのひとつとなる来航で、日米は大戦争に向けて歩んでいく。
下田市が町を挙げてペリーを観光資源として友好的に扱っていることにいつも違和感を覚える。