買収がいよいよ煮詰まってきたか。
3%のシェアしかとれなかった楽天モバイルは赤字続きで事業の継続が難しくなって、本業であるEC、銀行、証券の事業を圧迫している。
三木谷さんはこれまでか、倒産は必至とまでささやかれている。
12%のジャンク債をアメリカで発行して資金繰りをなんとかしようとしているほど。
上場企業の多重債務者。
ただ、KDDIと三菱商事が動いてなにかを始めようとしている。
ローソンは1975年、ぼくらが19歳の時にダイエーが設立し、ダイエーの崩壊とともに三菱商事が買収し筆頭株主となっている。ローソンさんというオハイオ州の牛乳屋さんが始めた店がルーツ。あの店のマークは牛乳をいれる容器が由来。
現在50%超の株を持っている三菱商事、2%ほどの株を持つKDDIだけど、そのKDDIがTOB(株式公開買い付け)を宣言してそれぞれが50%を保有し、三菱商事と共同経営をしようとしている。
そこでその構想に加わったのが「楽天」の買収。
三菱商事のもつリソースと、KDDIのモバイルインフラ、それに楽天の銀行、証券、楽天市場の経済圏をそっくりそのまま取り込んでローソンの実店舗をベースにコンビニの姿を変えようとしているようだ。
まさにDX。
DX戦略とは「企業が競争力を維持・強化するために、デジタル技術を活用した製品・サービス等を創出するための行動計画とアプローチのこと」
携帯基地局をもつKDDIとの統合でSOFTBANKとは違う、ビジネスモデルが誕生するのではないかと思う。
これは推測にすぎないけれど、
まず、AUの店舗(2200店舗)をローソン(14600店舗)に統合して(単体のAUショップをなくす)、そしていまセブンイレブンがやっているセブン銀行のようなATMを設置する、さらに楽天市場で購入した商品の受け渡しをすることで自宅配送コストを下げてより廉価での販売を可能にするのではないか、コンビニを新しいタイプのインフラ拠点にするのではないか、と思う。
経営トップはコンビニをどうかえていくか構想を練っている、というか、商事とKDDIは今後ローソンの店舗をどうマネージメントしていくかをすでに見据えたうえでTOBを宣言したはずだ。
であれば、倒産寸前の楽天をもっともいい条件で、底値で買収できるチャンスだとKDDIはみているのではなかろうか。
一株600円ほどで低空飛行していた楽天株は安くてもあぶなっかしくてとても手をだす気になれなかった。
だけど、経営者の目線は違う。
お買い得というだけで買収はしない。
KDDIの経営判断の真価はローソンの新店舗がどうかわるか、かわったのかをこの目で確かめるまでわからない。
なんでKDDIが?という意外性はあったがKDDIがローソンにTOBをしかけた、というニュースだけでは驚かない。
ベースが筆頭株主の三菱商事があることが、なにをたくらんでいるのかわからない不気味な何かがあると思わせる。
緻密に計算された将来像の絵を描いているのはKDDIではなくデジタル戦略を攻めようとしている三菱商事ではないかと勘ぐっているからだ。
NTTならなおのこと、お役所体質の巨大企業ではこれほど思い切った判断はできない。