6月の下田ははじめてのこと。
下田公園であじさい祭りがあるよと友人に教えてもらった。
群生地に咲き誇るあじさいたち。
早朝5時半。湾の入り口の天然の要害、山頂にある下田城の城址跡に上ってみる。
すでに満開といってもいいくらいの大勢のあじさいたちが歩道を覆い、かがみながら階段を上る。
これだけ曇天と雨露が似合う花もない。
淡い、水彩画の世界。
この子たちはぼくのあとに訪れる人たちのために待っている。
山の斜面すべてがあじさい王国になっていながら、自己主張もせず静かに佇んでいる。
すでに絶滅品種になっている、一昔前の日本女性のようでもある。
長崎出島のシーボルトは医者でありながら日本の植物に魅了され船に積んで持ち帰ったが、多くは塩害で枯れてしまった。遊女との出会いから「おたくさ」と命名。
もうすぐ山頂。
籠城したとしても一万人を超える大船団で海上を包囲されたらたまらん、、、
秀吉、恐るべし。
シーボルトが持ち帰った日本原産の花たちはヨーロッパの気候にあうように品種改良されて人気を集めることになる。