駅前は閑散としている。JR大牟田駅と西鉄大牟田駅が並んでいるのに駅に人はまばら。
アメリカ中西部のRAST BELT(赤錆の地帯)の日本版だろうか。
駅前の観光案内所に寄って、このあたりに食事のできるいい店はないかと尋ねると、「ひよこ食堂」という店とラーメン屋さんを勧めてくれた。とんこつラーメンとは絶縁したからひよこしかない。
選ぶも選ばないもない。ほかに食事ができるところがほかに見当たらない。
水俣の駅前もそうだった。
翌日に泊まった熊本第二の都市の八代のホテルは「駅前」だからと期待していたが駅前は駅前でも新幹線の「新八代」であたりいちめんもとはといえば田畑っぽく、開業して何年になるかわからんがいまだに洋食屋が一軒ポツンとあるだけでしかもこのごろ避けているハンバーグ類の店だから入る気にならない。しかたなくとなりの「トライアル」でサンドイッチやらを買い求め部屋でいただくはめとなった。
車でいけばいろいろあるのだろうけどビールやなんかものみたいしね。
ホテルのスタッフは駅にも食事ができる店はない、と。
北九州の副都心「黒崎がさびれてしもうて」、とかなんとか嘆いているけど、それどころではなく
そこそこにぎやかだったかつての中都市の駅前はどこかしこも衰退している。
甲府、銚子、土浦なんかは惨憺たるもので、そう考えるとやはり、東京、川崎、横浜は異常(埼玉・千葉はもざいく)だ。
23区内と言わず東京、横浜郊外の私鉄の各駅停車の駅前のほうがにぎわっている。
小倉駅前よりも東京の一駅にすぎないJR中野、吉祥寺なんかの一駅のほうの商業施設がはるかに質、量とも充実していて、どの店にはいるかたいてい迷いに迷う。
駅前の賑やかさを求めて、それを期待して地方の町の旅をするなら、もう旅などしないほうがいい。
国道沿いのはま寿司なんかのチェーン店にいけばいいと思われるだろうが、それではなんで地方のまちを楽しみに来たのかわからない。
もう感覚の狂っているおまえさんは博多か、大阪で喜んで騒いでいればいい。
今回の旅で求めてはいけないものがよくわかった。
福岡、長崎は炭鉱と切っては切れない歴史があってそれには事故を含め負の遺産も多い。
炭鉱住宅(たんじゅう)出身の荒っぽい上司、同僚もいたな。
「ひよこ食堂」はひよこ料理ではなく有明海の魚をメインにした人気店で、釣れた魚を持ち込みさばいてもらってその場でいただけるかわった店だった。