俵山温泉 916年(延喜16年)開湯
「溶存水素の還元作用による抗酸化力と抗炎症力」(温泉博士松田忠徳教授)を持つ長期滞在療養型温泉。
PH9.8の強アルカリ泉で浸かると肌がたちまちつるつる、ぬるぬるしてくる。
このまま自分は「うなぎ」になってしまうのではと心配になるほど。
私はもちろん西日本一のアルカリぬるぬる温泉目当てにやってくるのだが、
もう一つ、忘れられた日本の里山の静かなたたずまいを求めて通ってきていることに気が付いた。
湯けむり、川のせせらぎ、鳥がゆったり舞う澄んだ空の下で寄り添って暮らす人たちの景色に魅せられて。
煙突の煙とダンプの地響きの町、北九州にいるからだろうか。
ざわつき、喧騒から離れて、ひっそりしたいからなのだろうか。
玄関口のお土産やさんが出迎えてくれる。
鄙びた景色に心和む。
ここの温泉宿の特徴は、やっているのかやっていないのかわからない旅館が多いことだ。
営業しているふうだが営業していない、
営業してなさそうだけど、営業している、
廃業した旅館に見えて、玄関に家族連れの靴がたくさん並んでたり、よくわからない宿がざっと半分くらいありそう。
どこぞの居酒屋のように「はりきって営業中」の看板出す店などひとつもなく、どこまでもひっそりこっそり感が漂う。
こじんまり、コンパクトにひっそり身を寄せ合っている湯治宿
車1台がやっと通るメインストリート。
歴史ある温泉街ほど、通りは狭い。
なだらかな山々。
山里の静粛。物音ひとつしない。
静けさの中、川のせせらぎが心地よい。
早朝、雪が舞い始めた。
センター試験が行われたこの日は寒波で広島や山口でも積雪があって会場は混乱したが、私はこの雪を温泉街の佇まいを引き立てる格好の演出として嬉しくなっていた。
愛嬌のあるだいこくさまか玄関で豪快に笑う。
湯治客をなごませる、ねこにゃんとお猿たち。
三猿まんじゅうは朝早くからおじいさんが手作りしている。
よけいなひとことの多い私への戒めは特に手で口を押えている真ん中のお猿さん。
ずっとずっと昔から変わらない箱と包紙が伝統を守る。
「白猿の湯」の庭園。
寒くないか?
温泉であったまりなよ!
ひょうきんで遊び心たっぷりの箸置きをひとつひとつ手に取って楽しむ。
食事が楽しくなる。[/vc_column_text][/vc_column][/vc_row][vc_row][vc_column][vc_column_text]
[/vc_column_text][/vc_column][/vc_row]
俵山温泉。
いつかゆっくりと訪ねたい所です。
4歳の夏に椎間板ヘルニアと診断された母に連れられて1ヶ月湯治した場所です。
手術を勧める医師に、子供がまだ小さいからと2ヶ月の入院生活を切り上げ俵山温泉を選んだ母。
私がうっすら覚えているのは旅館が川べりにあったこと。
旅館の娘さんが私よりも2、3歳上でみさちゃんという名前だったこと。
旅館でスピッツを飼っていたこと。
温泉に浸かり目の不自由な按摩さんの所に毎日通い1ヶ月で腰がすっかり良くなった母。
今でもあの時と同じユッタリとした時が俵山には流れているようですね。
数年後に仕事を離れたら少しゆっくりと俵山で過ごそうと思います。
今でも猿はいるでしょうか?