スポーツジム通学

定年退職したら平日時間を気にせず思う存分ジムに通えるとにんまりしていた。これまでのぶん、とりかえしちゃる、と思っていた。勤務の都合で土日にしかいけなかったり平日に汗を流せる人たちをうらやましく思っていた。なにより空いていてゆったりできて、マシンはひとりじめ、サウナもお風呂も貸し切りで、、、と。

ところが、あけてびっくり、小倉駅新幹線高架下、平日朝の10時の開館前には数十人の人だかりでバーゲンセールを思わせる混雑。年配のおばさんとおばあさんの中間層というかグレイゾーンの女子がざっと8割、それにとうの昔に定年退職を迎えた、限りなくおじいさんに近い先輩の方たちが2割ほどで、玄関に蝟集している。


私の90歳になる母は2年前より「サービス付き高齢者向け住宅」略して「サ高住」に入居している。介護や医療と連携し、3度の食事と温泉がついている賃貸住宅。別府にはこうした施設が多い。温暖に加えどこでも温泉が湧き出るからであろう。病院ではないので治療を要する病人はいない。いずれやってくる老いに備えて定年後元気なうちから入居している人たちも多く、おめかしして買いものに出かけたり「施設に入居している」感じは薄い。

ところでこのスポーツジムの平日の昼間の実体は「サービス付き高齢者向け運動施設」、略して「サ高運」なのではないか。ただ「サ高住」と違うのはみな若者並みに元気で明るいこと。しかし、昼間のスポーツジムを占拠しているのはおばあグレーゾーンの女性たちで、スーパー戦隊ゴレンジャーなみのレッドイエローブルー原色のウェアに身を包みあちこちで大きな笑い声がこだましている。つねにどこかで笑ってる、いつもどこかでしゃべってる。体のトレーニングにはお口のトレーニングも含まれることがわかった。トークジム、でもあった。さしものかつて社長、部長だったであろうおとうさんたちも彼女たちのおばさんグループのパワーに敵うはずもなく、ひっそり黙々と埋もれてランニングしている。


ともあれとんだ誤算であった。そして、自分も昼の部最年少会員としてデビューし、ジム通学することになったと悟ったのであった。ルネサンスには日本全国どこでもいつでも利用できる「全国会員」というシステムがあって、ふらふら西日本をうろついているおやじにとってとても便利だ。ルネサンスは東京練馬になぜか店舗が集中しており、自宅周辺徒歩圏内西武池袋線の富士見台駅と練馬高野台駅前、そして石神井公園駅前の自転車圏内に店舗もあって、その日の気分と買い物、休館日にあわせて利用している。ただおばさんの元気度、やかましさ度でいえば小倉店がはげしく突出しており、九州のおなごは元気ばい、そのままである。


戦争にでもいっておられたのであろうか、立派な体躯のおじいさんは、トレーニングを終えておふろからあがると、まだ14時なのに、「これで今日の予定は終わりだ」とつぶやいた、、、2018.2.23

作成者: user

還暦を迎えてますます円熟味を増す、気ままわがまま、ききわけのないおやじ

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