とんでもない名著だった。
1957年に初版が刊行され、そのうちの1冊が神田神保町をうろつく私の目にとまった。
いまはいい時代になって本屋を探し回らなくともネットオークションでかんたんに手に入る。
昭和51年に文庫版となって中公文庫から出版されたものを全5巻落札したがこれがいま手に入る最後のもの。
急な仕事が入り、つまみ読みしかできなかったけどようやくひと段落で年末年始に腰を据えて読もう。
作品の生まれた時代背景や制作会社の盛衰、制作エピソード、どれも興味深い。
おもわず笑えるのもある。
「大映は永田雅一をはじめ、首脳部に製作出身の者が多いためか、一つ一つの映画作りは慎重に企画されていることは分かるが、営業的にときどき失敗をしている。つまり書き入れどきに大作や話題作が間に合わず、せっかくの興行力を発揮できないことがたびたびある。営業企画と製作企画がうまく合致しないまま、出たとこ勝負で興行するからである。」
これがまさしく「興行」。一発当てる、いちかばちか、大失敗、これぞまさしく映画の醍醐味。
2020.12.25