工藤美代子さんといえば小泉八雲、ラフカディオハーンの優れた研究者である。この「マッカーサー伝説」は20年近く前に日本経済新聞に連載されたマッカーサーについての評伝をまとめたものだ。
外出自粛が続くなか、ブックオフで見つけ、すぐに一気読みした。
このハーンとマッカーサーを繋ぐものは何かを知りたいと思った。
おそらくマッカーサーの片腕で天皇の戦争責任から皇室を守ったボナフェラー准将だろうと思いあたった。
彼はハーンのよき理解者であり信奉者でハーンの死後彼の残された家族を支えた恩人である。ひ孫にあたる小泉凡(ぼん)氏はこのボナフェラーズから名前をいただいたほどである。
そして、この書でマッカーサーとボナフェラーズはともに熱心な「クエーカー」教徒であると知った。イギリス発祥のプロテスタントではあるが「異端」とされ、迫害などを受けたキリスト教の一派である。明仁上皇の家庭教師を務めたエリザベス・ヴァイニング女子も信徒である。このフレンド協会は敗戦後の日本をキリスト教に基づく平和国家にしようと布教に努めた。
敗戦後の日本は皇室を含めこの熱心な「クエーカー」教徒たちにより統治されたわけだ。
「クエーカー」教徒について調べてみる。
信徒には新渡戸稲造がいる。
その特徴は「内なる光」、「内なるキリスト」を重視し、「どんな特別な儀式や聖餐式を行うことも必要がないと信じ、入会の儀式として洗礼は行わなかった」という。(Wikiより)
暴力は常に誤りであるとして、良心的兵役拒否者、非暴力の提唱者、反戦活動家たちがこの会に連なる。
「全ての人は同じ神の一撃でできているから、平等に扱われる価値がある」(同Wiki)と。
ほかに質素な生活、簡素な服装はどが特徴として挙げられる。法廷での宣誓も拒んだという。なぜならいつも真実を述べており宣誓する必要がないというのがその理由だ。
マッカーサーについての評価はここでは避ける。
地道な取材に裏付けられた記事で読みやすい。