自民党の若手衆議院議員が「警察、国税庁と連携し不正受給について厳正に対処する」とSNSでつぶやいていますね。
「修正申告を用いた申請は給付をいったん止める」ということもいっている。
修正申告による不正受給の手口を想定していなかったことを白状したも同様。
「期限後申告」も同じだと思う。
「申告をしないといけないとわかっていましたが、赤字なこともあって申告していませんでした。期限後になりましたが正しく申告をしました。」
「給付金の申請をきっかけに売上を見直したところ、100万円集計ミスがあり、すぐに修正申告しました。」
確定申告におけるこうした「修正申告」、「期限後申告」を否定する、ということですね。
しかし給付金の申請要件に駆け込みの「売上の修正申告はだめ」の記載はない。
経産省は「警察と国税庁と連携し」というが、その事業者の申請に用いられた売上金額がいくらが正しいのか1件ずつ確認して回るつもりなのか。
そうなると売上金額の「調査」ということになりますが、質問検査権に基づく「税務調査」ではありません。
この制度は適切な審査や不正受給への対応が整わないまま見切り発車したもので不備を認めつつも見せしめ的に一部の悪質事案を詐欺で立件することはあるかもしれない。
しかしながら経産省は動けば動くほど自らの制度の欠陥を世にさらすことになる。
立件したとしてもそれまでに振り込まれた給付金は口座から引き出されすっからかん。
振り込みを止めていたものは保留していた理由を開示し説明しなくてはならない。それができるか?
事業は廃業しているかもしれない。もともとペーパーカンパニーなんだから。ペーパーカンパニーはある会社の利益を圧縮するためにやってもない仕事を請け負ったことにして架空の売上をあげるのだ。
そして、それを多少の税金を負担してまで税務申告しておく。
その架空の売上が今回の給付金に使われる。
「警察と国税庁と連携して」経産省が委任した検査官が実態のない会社に赴き、帳簿などを確認し、架空の売上であることを立証する?
その実態のない会社は当然グルで事情聴取?のさい「確かにうちが発注した外注費です。経費がもれていましたので所得金額が過大になっています。その分税金の還付を受けたいと思います。」
「外注費は『情報提供料』でまだ支払っていませんがここに請求書もあります。」
100万円の給付金のために、経産省はこれをひっくり返し立件するつもりか。国税庁は「払いすぎた」税金を還付するのか?
この給付金制度が発表されたときすぐにヤバいと思った。
問題は「売上」だけにこだわり国税庁の確定申告とリンクさせたことによる。
ただし、給付金の申請のさい以下について同意・誓約することが条件とされている。
- 給付対象者の要件を満たしていること
- 不給付要件に該当しないこと
- 入力必須事項及び証拠書類等の内容が虚偽でないこと
- 事務局及び中小企業庁長官の委任した者が行う、関係書類の提出指導、事情聴取、立入検査等の調査に応じること
- 不正受給が判明した場合には、規定に従い給付金の返還等を行うこと
- 暴力団排除に関する誓約事項に同意すること
- 持続化給付金給付規程(中小法人等向け)に従うこと
給付金の不正受給についての立ち入り検査はだれがやるの?
「内容が虚偽である」とどう認定するの?検査官の裁量?
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律 昭和30年8月27日法律第179号
以下の不正受給時の対応が申請のサイトに新たに追加されたようです。
給付金の返還に加えて年3%の延滞金、2割増しでの返還。
2019年の法改正を受け。
それだけ補助金詐欺などが流行ったということですね。
不正受給をするとたいへんなことになるぞ、と脅している。
改正により不正受給に加担した社会保険労務士まで処罰するとこぶしをあげている。
立ち入り検査をして、本気で不正受給を認定しようとしているのか疑わしい。
駐車場の無断駐車の「無断駐車は金3万円いただきます」の看板が思い浮かぶ。
どんな思いで国民は税金を納めているか。
ろくでもない連中に金をばらまくことはやめてほしい。
2020/5/19