世の中はコロナで蟄居していた大勢の人たちが「GO TO TRAVEL」だなんだでざわついている。
それもそのはず大手旅行業界会長のしおれたなすびの二階さんがアリの巣をつついてざわつかせようとしているからである。
おやじを含め東京都民は税金いっぱい納めていながら税金をばらまく政策からのけ者にされたことに不満を抱いていたが、いよいよ東京解禁となったことでマスコミも煽るわ、かあちゃんも騒ぎ出すわで普段あきらめていた高級旅館に悶々としていた都民がいまだとばかりに殺到しそうである。
同じく大打撃を受けている零細小規模外食産業には二階さんのような業界を束ねるような政治家がいないため、これという手立てを講じられないでいる。
雌伏9カ月家にこもり、ただでさえ太った体にさらに体重が増え、おやじは家でごろごろするもんだから妻にゴミ扱いされ、思春期でもないのにもやもやし、もやしをつまみに酒量も増え、かたやおっかあは外出しないもんだから化粧もせず、化粧してもかわらないことが見事に証明され、目つきも悪く小言も多くなりと日ごろごまかしていた家庭の内外を問わず社会全般のもろもろの問題をコロナはあぶりだした。
さぁ、外へ出よう!終息したわけではないけれど国もカバンもってでかけよう、旅先にお金をばらまこうとお墨付きで叫んでいる。
そして、休会中だったわが東京シティーボランティアガイドもいよいよ動き出した。
どれに参加しようか。研修に3回以上参加しないとボランティアガイドの資格は得られない。
分科会、というか個性的なグループがいくつもあって楽しい。気分やお好みによってどこにでも参加できる。
「アキバ」コースなんてわっちが案内したいくらいだ。
このところ、出口治明さんの歴史講義本を興味深く読んでいる。ひたすら知識を詰め込むだけの歴史教育を受けてきた我々への世界地理と時間軸のからみあいを示してくれる「考える歴史」のすすめ。
ただの保険屋さんではない。
きょう知ったこと。
1853年のペリーの来航について。
てっきり捕鯨船にあいさつしながらアメリカ西海岸からやってきた、と思っていた。
そうではなくて東海岸からインド洋を経由して浦賀にきている。
捕鯨船のための港欲しさでもなんでもなく、中国との貿易目的で当時覇権を競っていた大英帝国との競争に勝つための、インド洋経由ではないアメリカ西海岸と中国を結ぶ太平洋の航路がどうしても欲しかった、ということである。
しかも、やってきた4隻はアメリカ最強の戦艦であった。旗艦は「サスケハナ」という名の伊賀の忍者みたいな名前の大和、武蔵級の軍艦であった。
下田駅前にこのサスケハナの模型がおいてある。遊覧船みたいなかわいらしい船だけど当時の超ド級戦艦だったわけだ。
つまり、アメリカの武力を背景にしたおどしと恫喝そのもので、やる気でやってきた、ということになる。
目的は対中貿易で中国のお茶や絹がそれほど欲しかった。争っていたイギリスに遅れをとりたくなかった。
関東軍陸軍参謀石原莞爾が極東軍事裁判で「なぜ戦争を始めたのか」と問われ、「おまえたちが平和に過ごしていた我が国を恫喝して開国させた」ことがことの発端だといっている。そのときは大砲をぶっ放し江戸を焼かなかったけれど真珠湾攻撃並みの衝撃を受けたはずだ。
アメリカの石油の禁輸とハルノートの日本は中国から手をひけというとうてい当時の日本の受け入れがたい要求が日本に開戦を決断させた。
出口さんの言葉の中に
「この国が歩いてきた道、または歩かざるを得なかった道について大枠で把握することが、相手が理解し納得してくれるために必要です。」というくだりがあります。
そして、世界史の中での日本を見ることの大切さをお話されています。
イギリスは中国と貿易を始めたが、対中貿易で大赤字だった。大英帝国は進んだ機械なんかを見せて買ってくれと中国に働きかけるけれど、皇帝は「うちは国内のもので間に合っている、あんたの国から買うものはない」とにべもない。最新技術に興味を示さなかった、というところが中華思想の中国らしさでもある。
そこで貿易赤字を解消するために「アヘン」を売るというやってはいけない手を使った。
アメリカは自動車で日本にいいようにやられたあと対日貿易赤字を解消するために、「日本よ、アメリカの商品や製品を買ってくれ」と騒ぎつづけている。
牛肉やとうもろこしだけではどうにもならずしびれを切らし、まずはビジネスマンでありディーラーでありネゴシエーターであるトランプは対日貿易赤字を解消するための「武器」の売りつけに成功した。「シンゾー」なんてどらえもんのジャイアンのいいなりになるスネ夫くらいにしか思っていないから、仲良くしようねとすり寄ってくればくるほどやりやすくなる。
経済問題の解消のために「値段があってないもの」を使った。高いか安いかまるでわからない兵器。経済問題解決のためのりっぱな政治的な必殺「兵器」といえる。
アヘン戦争は今も生きているし、世界情勢は交易がベースになっているということだ。
そして目下米中貿易戦争の真っただ中にある。
2020.9.27