Go to Matsue

羽田から都心を通過する新ルートで我が家の上空をかすめ出雲空港に向かう。

離陸後ほどなく3千メートル級の山々が連なる南アルプスの景色が眼下に広がる。八ヶ岳上空。

ボーイング747、座席数は400以上の機材で飛ぶ。

乗客は2割ほどの超ゆったり、超ソーシャルディスタンス、JAL大赤字転落まちがいなし便。

本来なら札幌や福岡に使う大型機材だがメンテナンスの関係でどこそこ関係なく定期的に飛ばしておかないといけないのだろう。

出雲空港の短い滑走路に着陸できるだろうかと不安になる。


そして大山、中海としだいに降下し私の生誕の地の遊覧飛行までしてくれる。

窓を開け身を乗り出し、食い入るようにながめる。


江戸時代にいちばん近い町。武家屋敷と神社とお寺、そして湖水と夕日のまち。静かで質素で簡素な暮らしの中で四季の風情やお茶をたのしむ。

雑踏や争いごとや大きな声が日本でいちばん似合わない偉大な僻地。

神社ではみな深々と礼をして境内に入る。

幼いころ、水郷際の花火大会とならび、この売布神社での夏祭りが楽しみだった。

露店が参道の両脇にぎっしり並んで妹たち浴衣着てひらひらした金魚のような子供たちがうじゃうじゃいて、わたあめや金魚すくいやお面やら、お化け屋敷やら輪投げなんかの店が裸電球に照らされて興奮したわたしたちとともにきらきら輝いていたあのころ。

暗闇にうかぶ真夏のワンダーランド。境内がディズニーランドだったのだ。


宍道湖の朝の風物詩はいまでもしじみとりの小舟で鋤簾と(じょれん)と呼ばれる道具で湖底を掬う。


遊郭跡を旅館や料理屋にしている。わたしの生誕の地にほど近いがおいらは遊郭生まれではない。

なにもかもがまずはお茶とお茶菓子にはじまる町。

 


レンタカーを借りて、用事を終えた後、島根半島北海岸をドライブしてみる。対面通行ができない断崖絶壁道路も健在でスリリングだ。

泳ぎを覚えた海岸はあの時のままで美しい。

自然も人も壊した島根原発だけは許せない。当時の地元選出の通産大臣と中国電力の社長の兄弟のしわざだ。

なんちゃらセンターだのがいくつもこの過疎のまちに原発予算で造られているが、いまはがらんどうの朽ちた廃墟のようになっている。つくった時からわかりそうなもんだがそれが政治の産物遺産というものだ。


境港はズワイガニ漁が解禁されたばかり。

魚市場の海産物センターは全部とは言わないがお土産屋とかわりなく、観光客用の、地元の人が敬遠する値段設定となっている。

さすが境港の超大型スーパーの鮮魚コーナーではゆでたてで湯気もうもうの真っ赤になったかにを格安で売っている。ゆであがるとおじさんがトレイで運んでくるのだ。

みたところ半額から三分の一程度の値段。生ゆでのカニのおいしさといったらない。


最近のレンタカーはハイブリッドなんだね。

そして、走行中センターライン超えると「はみだしとるぞ」と警告する機能までついている。

さらに追い越そうとする車がくるとドアミラーがオレンジ色に点滅する。

これには驚いた半面、いちいちうるさい、わかっとるわいと舌打ちした。こんなもんにたよらにゃいかんようになったら乗るな、って。

車のメーカーもパナソニックのように「よけいなちまちました機能」に走ってる。手詰まりに見える。ほかに全集中でやることがあるだろうと思う。


田んぼ道をのろのろ走るホンダNボックスをせっちんしてあおろうとすると「危険運転です」とナビが小池百合子の鬼滅声にかわってアラート叫びする。

わたしも「回答は差し控えさせてもらう」と半開き目の菅総理大臣のお通夜声で切り返す。


マスク外すと外したでホロスコープでコロナの女王岡田教授が運転席に狩野探幽の水にぬれた亡霊乱れ髪姿で目の前にあらわれる。

Go to キャンペーンの地域振興券電子マネーの残高をパネルに表示するわ、出雲歴史博物館にいって銅鐸や銅矛を見て来いとナビが命令するわ、いやはやこれから車はどうなっていくのやら。

2020/11/16

 

 

作成者: user

還暦を迎えてますます円熟味を増す、気ままわがまま、ききわけのないおやじ

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